日本版FIREを考える その7:金利上昇と原材料価格の上昇で不動産投資は冬の時代へ 続き


こんにちは。

最近体力が落ちてきたのか、半日歩き回るだけで夜へとへとになってしまいます。またランニングでも始めようかなと思う今日このごろです。

さて、前回の記事で不動産価格があまりにも高すぎるという話をしました。利回りがもはや株式投資と変わらない水準にまで下がってきてしまっており、わざわざ借金を抱えてまで始めるほどの旨味がなくなってきていると思います。

今回はその続きで、不動産投資についてそれでもやりたいという人にとって、この条件を満たせばやっても良いんじゃない?と思う点を書いていきます。

今から不動産投資をしても良い人が満たすべき特徴

・金持ち(借金しないで投資する人)

・やむを得ない不動産投資の人(引っ越し)

詳しくみていきましょう。

・金持ち(借金しないで投資する人)

金持ちと書きましたが、別に大富豪のことをいっているのではなく、要は借金をしなくても投資ができるだけのキャッシュを持っている人、もしくは借金をしなくても買える物件に留める人のことを指します。

結局投資の何がリスクかっていえば、元本の毀損と想定したリターンが取れないことなわけです。このいずれか、または両方を被ることによって、みんな地獄をみるのです。他人資産でレバレッジを効かせて効率よく投資を~なんて謳っているバカ本が数多とありますが、それらは、基本的には不動産価格が上がる、少なくとも下がらないという前提に立っており、また、賃貸収入も入り続けることを想定しております。

ところがどっこい、人生そんなに甘くないわけです。人口減少、経済衰退、もはやオワコン国家である日本において、不動産投資なんてそもそもがリスクの塊みたいなものであり、そんな中でこんな超楽観的なお花畑理論で儲けられる人なんてごく少数です。今後は金利の上昇リスクもみえてきています。

無駄に借金だけ抱えてしまい、リターンが上がらず、急いで物件を手放そうとする。そのときに買値で売れれば御の字ですが、築年数が購入時点よりも経過しているわけですから、物件価格が下がっている可能性はいくらでもあるわけです。

前回の記事でも触れましたが、物件価格は下がるという当たり前のことを忘れ、アホな投資本を盲信して多額の借金を抱えて不動産投資をしてみたは良いけども、結局うまくいかない。買値以下でしか売れなければ、家は失うわ、借金だけは残るわ、で踏んだり蹴ったりなわけです。

このような地獄絵図にならないために、購入価格はキャッシュで買える範囲に留めるか、少なくとも抱えても良い低額の借金の範囲内で購入しなくてはなりません。投資がうまくいかなくて、売ることになったとしても、無借金であれば売値はそのままあなたの手元に残ります。低額の借金に抑えておくことで、いざ撤退(売却)するときに借金が残っていなければ、こちらも売却額はそのまま手元に残ります。まあ利益は出てないかもしれませんが、勉強代だったと思いましょう。

また、無借金で購入していれば、仮に賃貸人が長らく入らなくてもあなたのキャッシュ・アウト・フローはせいぜい固定資産税と(マンションであれば)管理費、修繕積立金くらいです。逆に賃貸人さえ入っていれば、月々の家賃収入は丸々自分の手元に残ります。

これが借金をしていると、賃貸人が入らなくて、賃料が取れなくても月々のローン返済は容赦なく襲ってきます。賃貸人を入れるためにやれ壁紙交換だ、フローリングの張替えだ、エアコンの設置だとやっていたら、どんどん金が飛んでいきます。また、月々のローン返済額というものがあるため、無借金オーナーほどアグレッシブに家賃の値下げもできません。無理矢理にでも賃貸人を入れようとして、家賃を下げすぎてしまったら、ローン返済額のほうが高くなっていまい、賃貸人がいるのに赤字状態に陥ります。そして結局最終的に、「すまん、これってやる意味ある?」ってなっちゃうわけです。まあ赤字が出れば所得税は安くなるかもしれませんけど笑

無借金オーナーは賃貸人が入らなくて悩むことはあっても、破産する人はいません(そもそも借金がないわけですから)。破産するのは結局借金の返済ができなくなるからです。

「他人資産でレバレッジを効かせて~、効率よく収益をあげよう」なんて言えば聞こえは良いですが、「借金を抱えて、将来的に入るかどうかわからない収益に期待しよう」と同義であることを忘れてはなりません。

無借金で不動産投資をするのは、株式の現物投資をするのと本質的には一緒です。失うのは投資分のみ、キャピタル・ゲイン(不動産の値上がり益)とインカム・ゲイン(月々の家賃収入)はあなたの銘柄(不動産)選定力次第となります。

そもそも投資なんて余裕資金でやるべきたぐいの趣味みたいなものです。脱サラ!FIRE!なんて耳障りの良い話につられて、人生をかけるべきものではありません。

できる範囲で小さく始める、というのは投資の大鉄則です。

・やむを得ない不動産投資の人(引っ越し)

さて身も蓋もない、救いようもないことを言いましたが、ここで少し救いになる(かもしれない)話を。

世の中には実は不動産投資をしたくてしているわけではないけども、結果として不動産投資チックなことをやっているという人はいます。そして往々にしてそういう人はうまくいっているケースが多かったりします(あくまで私の周りの人の話ですが)。

それは、マイホームを買ったけども、転勤や家族の都合(親の介護や子供の進学など)でやむを得ずマイホームを貸しに出した人たちです。

こういう人がうまく行きやすい理由としては下記のものが挙げられます。

1)そもそもいわゆる投資用不動産を買っていないので実需・資産性がある

2)住宅ローン金利が適用されているので金利負担が低い

3)いずれはまた自分たちが住む(帰る)家だという認識が強いので、売り急ぐことなどがない

深掘りしていきます。

1)そもそもいわゆる投資用不動産を買っていないので実需・資産性がある

投資用不動産と言うと都心ワンルーム・マンションや築古オンボロアパートみたいな感じで何となくの「投資向き=高利回り」となる不動産のカテゴリーが限られてきます。分譲ワンルームならともかく、いわゆる個人投資家にとりあえず売り捌くことを前提に建てられた投資用ワンルーム・マンションはまあおしゃれさもないし、機能性もないし、牢屋に毛が生えたような代物なわけです(個人的感想です)。築古オンボロアパートなんて言わずもがな。

やはり、賃貸前提で建てられた物件と分譲マンション、戸建てでは使われている素材や設備に圧倒的な差があります。夢のマイホームですから、せっかく大金を払うならと高価でも良いものを皆さん買っていることでしょう。

そんなわけでチンケな投資用不動産とは違い、このような分譲物件は賃貸でも借りたい人はいますので、賃貸人がなかなか入らない!というリスクを低位に抑えられる可能性があります。

分譲物件であれば価格がそもそも高いので、利回りが低いじゃないか!という人もいるかも知れませんが、そもそもマイホーム購入なわけなので、利回りが~なんて考えてないわけです。賃貸に出すときもせいぜいローン返済額分が取れればいいやくらいの感覚の人が多いのではないでしょうか。

利回り換算すれば確かに低いですが、リターンを得るという考え方ではなく、自分が使わない期間分のローン返済をしてもらう、という感覚です。なので、利回りという意味でのリターンはたしかに低いですが、自分の借金を誰かが代わりに払ってくれるって嬉しくないですか?wということなんですよ。

2)住宅ローン金利が適用されているので金利負担が低い

これは誤解なく言っておきますが、住宅ローンの金利で金を借りて不動産投資をしろとは私は全く言っていませんし、そういうふうに受け止めてほしくないので予め強調しておきます。

あくまで、必要に迫られて、家を空けなくてはいけない。やむを得ない事情のために結果として賃貸に出し、不動産投資のような流れとなった、ということです。住宅ローンで金を借りて不動産投資をするのは契約違反になると思いますので、ご注意を。

ローン返済期間は35年と長いので、その中で転勤や家族都合の引っ越しが起きるのは銀行も承知しています。そのへんはしっかりと銀行の担当者に相談して理解を得られれば、住宅ローン金利のまま一時的な賃貸は黙認されることがある、という話です。

さて、それを前提にお話すると、住宅ローン金利は前回の記事でも書いた通り、依然として低位な水準です。まあ今後金利上昇リスクは大いに有りえますが、それでも投資用不動産ローンと比べれば雲泥の差です。

借金返済リスクの怖さについて前述しましたが、返済負担が低いというのはそれだけで安心感があります。

3)いずれはまた自分たちが住む(帰る)家だという認識が強いので、売り急ぐことなどがない

得てして悪いことと言うのは同じような時期に発生します。特に経済的苦境と言うのは景気が悪い時に起きやすいです。そうなると、お金が必要になったので、家を売ろうとする、しかし景気悪化局面と被ってしまって、これまであると思っていた資産価値よりも低い価格でしか売ることができなかった。という事になりかねません。そうなればあと数ヶ月、数年待てばもしかしたら相場は戻ったかもしれないのに、割安な水準で売ることを強いられるかもしれません。

もちろんどのくらいのお金を工面する必要があるのかにもよりますが、マイホームだと手放しにくい、手放したくないという気持ちが強く出ると思います。せっかく終の棲家として買ったのだから、子どもたちの世代まで残したい、と思えば別の方法でお金を工面する方法を探すかもしれません。

このように売り急ぐことを回避できれば、不当に安いタイミングで手放してしまうリスク、心理を防げるかもしれません。金利負担が小さいことも、こういうときに奏功しますよね。

結論:甘い言葉に惑わされずに、資産クラス間の投資妙味を常に意識する

キーワードは

すまん、これってやる意味ある?

です。投資したいなーっと思う自分と、「ワレ、意味あるんかこれ」と否定的にみる・考える自分というものを常に持ってください。基本的にうまい話を言うやつは詐欺師かアホかその両方なので、儲け話は自分で考えて、調べて、悩んで、お腹下して、夜うなされながら決断しないとだめです。to be or not to be ならぬ、to do or not to do です。

ということで、ここまで2回にわけて2022年春季時点の不動産投資状況について書いてきました。

結局いつの時代もキャッシュを持っているやつが一番強く、多額の借金をしてまで不動産投資をする、という時期は過ぎたのではないかと思います。マイホームが欲しいという人は引き続きいいものがあればえいや!と買ってしまって良いです。

不動産投資ってなんだかかっこいいな~楽して金稼ぎたいな~って人はとりあえず甘い幻想を捨てて、お金を貯めることから始めると良いと思います。

株式市場は今低下しています。高配当ETFを探せばぶっちゃけ、不動産投資の手取りリターンくらいの利回りが享受できる投資先はみつかりますよ。


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