自分の投資スタイルを確立するということ:まずは投資マインドを確立させる


先日、投資に興味を持ったという後輩と話す機会があり、そこであれこれ投資談議をした。

後輩と話をしていて、またこのブログを読んでもらって、時々聞かれるのが、「財務分析をしないんですか」という質問だ。実にごもっともな指摘だ。

株式投資のことを学ぼうとすると、やれ株価収益率だの、やれ自己資本利益率だの、やたら小難しい漢字や英語の略称が飛び交っている。どういった指標に注目していますか?などと聞かれても株の専門家でもなければ、仕事でもあんまり最近株式に触れる機会がないのでよくわからないというのが正直なところだ。

そもそも疑問なのだが、「割高」、「割安」って何だろうか。「株式市場は足元割高感が高く、過熱気味である」とか「XX社はYY社と比較してレラティブ・バリュー(相対的価値)があり~」なんて文言を日々みかけるし、僕自身書くことが多いが、実際には僕はいまいちピンとこないでこういう表現を使っているし、ピンとくる人間が果たしてこの世にいるのかな?とさえ考えてしまう。

今回から3回に分けて僕の投資スタイルを例に挙げながら、各人で自分が良いと考える投資スタイルを確立していくきっかけ作りにしてもらえればと思う。

僕が投資スタイルを確立していったプロセスは下のようなステップだ。

投資スタイルの確立までのステップ

1)投資マインドの確立:共感できる投資家をみつける

2)分析スタイルの確立:共感できる分析手法をみつける

3)自分自身の中のノイズを排除する:行動ファイナンスを理解する

一個ずつみていこう。今回は「1)投資マインドの確立」である。

1)投資マインドの確立:共感できる投資家をみつける

本屋に行くとこれでもか!というくらい株式投資本が溢れている。この中から情報を収集し、まずは自分の中での投資マインド(お金/投資に対する考え方)を確立していこう。真っ先に排除するべき本(ネットでの情報を含む)はタイトルが「必ず儲かる系」、「誰でも簡単に~系」のものである。これらの本は投資会社勤務の僕から言わせるともはや害悪に近いものであるので、1円も出す価値がない。金融業界、特に投資関連において「必ず」とか「絶対」というワードを使用すること自体金融商品取引法で厳格に禁止されている。誰が書いているのか知らないが、「必ず儲かる」という旨の投資本の存在自体、業界ではコンプライアンス違反みたいなものだ。「必ず儲かる」なら世界中みんな大金持ちだし、そもそも本当に「必ず儲かる」なら誰にも教えない。投資の世界の「必ず」は存在しない。

同じく「誰でも簡単に」を謳うものだ。何をもって「誰でも簡単に」と書いているのかはわかりかねるが、基本的に「誰でも簡単に系」の本は内容が大したことないものが多い。お金を出して読む価値はない。ググれば出てくる程度の情報であることが大半だ。

次に当たり前のことしか書いていない本もわざわざ買って読まなくて良い。図書館で読みやすそうなのを数冊読むか、僕が今から「当たり前のこと」の内容を書くので、それを読むだけで良い。

当たり前のことしか書いてない本の「当たり前」な内容

・分散が大事

・長期投資が大事

・損切が大事

・設定したルールに常に従うのが大事

だいたいこの4つのことをだらだらと事例を使いながら書いてあるだけだ。正直これらは「交差点は青信号になったら渡りましょう」レベルのことなので、こちらもわざわざ何冊も買って熱心に読む必要はない。

最後に一発屋が書いた本。これも読まなくていいと思う。

これは判別が難しいところだが「僕はX年でY億円儲けました」系のことがサブタイトル、または表紙や帯に書いてある本は基本的に一発屋が書いたものである可能性が高い。読まなくていい。内容は大体「自分の貧乏・苦労話」→「自慢話」という展開であり、参考になるものではない。大体本当にこいつは一発当てたのかな?とさえ思ってしまう。書く分には自由だが、信ぴょう性は乏しいことも多い気がする(あくまで僕の印象だ)。

じゃあどうするか、ということになるが、おすすめは著名投資家の書いた本だ。

ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ジム・ロジャース、村上世彰など、世界的に有名な投資家から日本人の著名投資家まで多くの人が書いた本、もしくはこれらの投資家に関して書かれた本もまた多く存在する。こういった非常に大きな成功をおさめた人から学べる点は非常に多い。また、彼らは実際に有名であるのでよくわからない「一発屋」と違って実際に投資実績というのは公表されているし、研究もされている。ウォーレン・バフェットの組み入れ銘柄なんかそれこそ世界中の投資家の関心の的だ。

「成功者に学べ」ではないが、こと投資に関しては成功者から学ぶことは多くあると思う。

僕の場合、最も参考にしているのはウォーレン・バフェットの考え方だ。「投資の神様」、「オマハの賢人」などといわれているが、過去50年間にわたって年率20%以上のリターンを創出し続けている。これは投資に携わっていればわかると思うが、ものすごいことだ。神がかっている。イチローの10年連続200本安打くらいぶっ飛んですごい。ジョージ・ソロス/ジム・ロジャースたちのほうが瞬間最大風速は強いかもしれないが、50年間継続して勝ち続けるというのは何かしら彼の投資スタイル、考え方に学べるものがあるのではないかと思う。

「ウォール街の伝説のトレーダー」とかそれこそ先ほどの一発屋などは確かに瞬間最大風速は強いのだが、これらの投資家が「勝ち続けている」という話はあまり聞かない。その時は注目を浴びるが、そのあとは「ウォール街の伝説のトレーダー」から「ウォール街の普通のトレーダー」に戻ってしまっているのではないだろうか。そもそも多額のお金を稼いだのですでに引退している人も多くいると思うが。

とにかく瞬間最大風速は強い人は果たしてそれが「実力」なのか「ラッキー・パンチ」なのかわからない。ラッキー・パンチを50年間当て続けることはできない。

先ほど「当たり前のこと」として4つ「投資の常識」なるものを書いたが、私はこの中で「損切が大事」だけはどうしても納得がいかない。

損切が大事という人は、「下がってきた株はすぐに売って、次の投資機会に移ったほうが良い」ということを説くのだが、それはその通りとして、ではその「次の投資機会」でも下がってきたらまた損切をすることになる、そうやって損切を繰り返すうちに投資元本がどんどん減っていって、「次の投資機会」に投資ができない可能性が出てくる。「次の投資機会に行け」というのは「次の投資機会は当たる」ことを前提にした戦法にすぎない。少なくとも勝率が50%を超えないとこの戦法は意味をなさない。この点をツッコんで、納得のいく返答をもらったことが僕はいまだかつてない。

「下がってきた株を売らずにそのまま上がるまで待つ」というのは確かに効率的ではないかもしれない。新たな投資機会を探すこともできないし、そもそも「今下がっている株価が将来上がる」根拠はどこにもない。株価が長期にわたって上がらず、売ろうにも売れずにいると、いわゆる塩漬け状態となる。

投資のセオリーでいけばこれは避けるべき事態なんだが、僕は基本的に下がった株は塩漬けにしている。その理由は1)そもそも投資会社勤務なので短期売買が禁止されている、2)そもそも特に日本株は配当・優待狙いで買っているので、値下がりを気にしていない、3)塩漬けにして自分の失敗を日々戒めとしてとっておく、の3つが挙げられる。以前、「日本版FIREを考える」のブログでサンマルクの優待の話をしたが、サンマルクは僕が買ってから目も当てられないほど株価は下がった。今確認したら半値以下だ。

それでもあまり気にしていない。強がりに聞こえるかもしれないがもともと20%オフの優待カードが欲しいなというのが主要な目的だったので、長期保有目的で買ったものである。もちろん値上がりしていたらそれはそれで嬉しいがまあ気長に待てる余裕がある。配当も現状は不満はない。経営陣およびサンマルクの決しておいしいとは言えないコーヒーには多分に不満があるが。

逆に米株は優待がないのでもう少し慎重かつ値上がり狙いだ。まあ米国株式市場は黙ってても長期的には上がるので、こちらもあまり日々の上げ下げは気にしていないが。詳細は以降のブログに譲る。

さて、話が少しそれたがウォーレン・バフェットの考え方で僕が好きなのは以下の3点だ。

1)ここぞと決めたら集中投資

2)ここぞと決めたものに対しては損切しない

3)短期的な株価の上げ下げに一喜一憂しない

まさに投資のセオリーの逆をいっている考え方だ。分散の重要性は彼自身も説いている一方で、自身はわりと集中投資を好む。分散投資/集中投資に関しては「2)分析スタイルの確立:共感できる分析手法をみつける」で詳しくみていきたい。

僕が特に好きなのは「損切をしない」と「一喜一憂しない」である。自分が良いと思って買った株なら長期目線で値上がりを期待するべきだ。そもそも安くなって売ってしまうというのを繰り返していては、いつまでたっても金は増えない。値下がりしたら「欲しいものがバーゲン・セールになった」くらいの強い気持ちでいたい。

投資の教科書的には「塩漬けなんて愚かだ」ということになるし、「ナンピン(値下がりしている銘柄に追加投資を行ってポジションを積み増すこと)なんて邪道だ」ということになるが、教科書に書いてあることよりもウォーレン・バフェットの考え方のほうが僕には合う。正直教科書が正しいとは限らないし、当然ウォーレン・バフェットの考え方が絶対的に正しいとも限らない。でもどうせなら考え方が合う人のほうが何かと参考になる。

皆さんもぜひ自分の考え(投資マインド)と合う著名投資家を探してみてほしい。ウォーレン・バフェットを参考にした僕の投資マインドは下記のようなものだ。決して100%彼の考え方に沿っているわけでは決していないのはみて取れると思う。

僕の投資マインド

・長期投資

・損切はしない。

値上がりが期待できるものはナンピンも辞さない。経営陣の能力が低い、競争が激烈すぎて、今後も上がり目がないものは追加投資はせずに塩漬け。後者は特にコツコツ優待と配当だけに切り替えて保有していることさえもう忘れる。”Buy and Forget”である。

・短期的な株価の上げ下げに一喜一憂しない

こちらに関しては「3)自分自身の中の伊豆を排除する:行動ファイナンスを理解する」で詳述する。

ちなみにおすすめの本はこちらだ。このブログはアフィリエイトではないので、リンクを押そうが、リンク先で買おうが僕には1円も入ってこないので安心してほしい。

投資で一番大切な20の教え

ウォーレン・バフェットが書いたものではないが、考え方は彼に非常に近い。ウォーレン・バフェット自身非常に気に入っていてバークシャー・ハザウェイの株主総会で本書を配布したほどだ。

投資銀行に就職が決まって、大学を卒業するかしないかくらいの時期に読んだが非常に感銘を受けた一冊だ。僕の中での投資のバイブルといっても過言ではない。自身の投資マインドがウォーレン・バフェットの考え方に近い人はぜひとも読んでみてほしい。

次回は「2)分析スタイルの確立:共感できる分析手法をみつける」について述べていく。

推奨株の動向アップデート

日本株

グロース株 推奨日株価 直近株価 騰落率
ロング推奨
任天堂(7974) 46,840 58,130 +24.10%
ソニー(6758) 6,706 7,862 +17.24%
スクエアエニックス(9684) 4,490 6,690 +49.00%
バリュー株 推奨日株価 直近株価 騰落率
ロング推奨
ナガセ(9733) 5,400 5,750 +6.48%
ショート推奨
ルネサンス(2378) 1,051 931 -11.42%
セントラルスポーツ(4801) 2,498 2,348 -6.00%

日本株は引き続き好調。ロング推奨銘柄は日経平均のリターンを大きくアウトパフォームしているし、ショート推奨銘柄はマイナス行進を継続。

これからもコロナウイルスの感染被害は続くとみられることから、今年のゲーム業界におけるクリスマス商戦はかなり良好なものとなるだろう。ソニーはPS5を発売するし、任天堂もスクエニも今後も旺盛なゲーム需要による恩恵を受けるだろう。

ショート銘柄はコロナの動向が重しとなるし、そもそも年末年始は解約タイミングでもあるのではないだろうか。本来は解約タイミングであり、加入のタイミングでもあるんだが、こんな状況下、おそらく新規で「ジムに通おう」と思う人は少ないだろう。今後も株価は軟調に推移すると予想。

米国株

グロース株 推奨日株価 直近株価 騰落率
ロング推奨
ビヨンド・ミート(BYND) 181.86 193.38 +6.33%

期待のビヨンド・ミートはすでに推奨開始時点から数日で6%超上昇している。上場来高値は234.90ドルだが、もしかしたら年内にこれを上回るかもしれない。足元数日間連騰しているが、おそらく来年の今頃は今のこの水準が可愛く感じるほどに値上がりがみられるかもしれない。追加投資する予定だ。

最後に本の宣伝

「コロナ・ダイエット」という本を出版しました。キンドルのアプリがあればスマホ、タブレットなどでお手軽に読めますので、興味ある方はぜひ。

コロナ・ダイエット

こちらは買ってくれたら僕に印税が入るので、皆さん最低5冊は買ってほしい(笑)


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