2024年の振り返りと2025年の投資計画②


みなさん、こんにちは。

なんか平日のクリスマスってあんまり盛り上がらないせいか、特に意識することもなく、しかも個人的には体調も優れなかったこともあり、寝込んでいたら気が付いたら終わっておりました。

あっという間に2024年も残すところあと4日?とかですね。早い早い。

前回は母校での講義に関する様子を書きましたが、さっそく講義のあと学生からOB訪問依頼があるなど、反響というか反応もありましてありがたい限りです。基本的に勤め先も仕事的にも狭いムラ社会でやっておりまして、そんな環境にずっといるとすっかり新しい刺激もなくなってきますので、若い人たちと知り合ったり、いろいろ彼らの考えに触れられたりするのは非常にありがたい機会となっております。

前々回に「2024年の振り返りと2025年の投資計画①」ということで、主に2024年の振り返りをしましたので今回は2025年の市場見通しについて書いていきたいと思います。

ちなみに、この前母校で講演した際にこのブログの存在を教えておりますので、今後読者が増えることを期待してもう少しわかりやすいというか、専門用語の簡単な説明みたいなのも適宜入れていきたいと思います。内容的には大学2年生の学期末レポートくらいのレベルだと思いますので、金融業界特に外資系を目指すのであればこのくらいはすらすら理解できると良いかと思います。後は単純にこれを読んでくださっている奇特な方に、内容が難しいといわれましたので、わかりやすく書くことを心がけていきたいと思います(笑)

2025年の市場見通し

まず、簡単に2025年に起きうる主な出来事を考えていきます。

第二次トランプ政権の誕生

大きなイベントは第二次トランプ政権の誕生でしょう。今年11月に実施された米国の各種選挙では大方の予想を覆し、大統領、上院、下院すべて共和党が勝利を収めたため、トランプ新大統領は今後非常に強い影響力を持てるようになりました。

政治的なことはこのブログでは議論しませんが、基本的に共和党政権時代のほうが金融市場についてはプラスです。共和党の基本的な政策スタンスとして、規制緩和、減税路線というのがありますし、最近だと自国優位政策的な側面も強いといえるのではないでしょうか。特にトランプ氏が大統領に就任したら、関税の引き上げ、移民政策の厳格化など自国成長を最重要視した政策をとると思われます。このような政策でもちろん悪影響を受ける業界や企業もあるとは思いますが、全体感として米国経済を下支えするような形の政策運営をしていくのであれば、米国株投資においては概ねプラスに働くだろうと考えられます。

タカ派なFRBの金融政策

次に重要なのは、FRBの金融政策でしょう。2025年は100bps(1.00%)の利下げが行われるだろうとみられておりましたが、トランプ新大統領の就任で、関税が引き上げられたり、移民政策が厳格化したりすると、輸入物価や人件費の上昇が起きると見込まれます。そうなると、せっかくこれまで沈静化してきた、インフレが再燃する恐れがあると考えられており、FRBは利下げ(政策金利の引き下げ)がしにくくなります。

補足:1bp=0.01%でして、金融業界では%よりもより細かいbps単位で物事を表現することが多いです。Basis point(s)でベーシス・ポイントと呼びます。あんまり複数形のsは発音しない気がします。100ベーシス、みたいにポイントを略すことも多いです。

ということで、FRBが発表した最新のドット・プロットでは2025年は50bps(0.50%)の利下げにとどまることが示唆されています。

補足:ドット・プロットというのはFOMCの各参加者が考える金利水準の考え方みたいなのを集計したものだと思ってください。こちらもご参照ください。

まだまだ堅調な米国経済がいざなうニューノーマル

最後に、勤め先の経済見通しレポート(まだ公表されてません)の内容で面白かったものを簡単にお伝えします。おそらく来月の早い時期にはHPに出ると思うので興味ある人はチェックしてください。日本語版も今週サインオフ(確認&ゴーサイン)したので、正月休暇明けには公表されるはず?

一般的な(マクロ)経済理論で言えば、金利を上げればインフレは収まり、その代わりに景気が悪化して、最終的にはこのインフレの鎮静化と景気の悪化のバランスをみながら中央銀行は、金利の引き上げ(金融引き締め、利上げ)から金利の引き下げ(金融緩和、利下げ)へと転じていくわけです。これが金融政策であり、中央銀行の大切な役割の一つです。

2022年3月から始まった米国の利上げ政策ですが、これはひとえに米国でのインフレをなんとか早期に抑えていこうという思惑からでした。これによって約2年半にわたって、段階的に米国で政策金利は引き上げられ、そのまま高止まり状態が続いておりました。今年の半ばくらいから、インフレの鎮静化が継続に確認できたということで、9月から12月までのすべてのFOMC会合(FRBの金融政策決定会合)で利下げが実施され、合計で100bps政策金利が引き下げられました。

先述した通り、来年のトランプ新大統領の誕生で、インフレの再燃リスクがあるため、来年の金融政策がタカ派(金融引き締めのほうが良くね?という考え方。逆は「ハト派」)に転じているわけですが、これに関連して、面白い事象が現在起きています。

それは、あれ?こんなに金利上げたのに、米国の景気悪化しなくね?ということです。

不景気、景気の悪化や減速、リセッションなど、いろんな表現をされますが、具体的に何をもって「景気が悪化した」と判断しているのかってあまり知られていないと思うので、簡単に説明します。

いろんなところで「景気の悪化」を感じることがあると思います。例えば労働市場が悪化して、失業が増えるとか、新規雇用が減るとか。日本だと景気の良し悪しがもろに新卒採用数に出ますよね。そんな感じです。今は売り手市場のようですけども。うらやましい。

ただし、いわゆる「景気後退(リセッション)」判断の大きな指標は「GDP成長率が2四半期連続でマイナスであること」というのがあります。「大きな指標」といったのは、例えば自然災害だったり、コロナ禍だったりで、別に経済状況が悪いわけじゃないけど、不測の事態で経済活動ができなくなっている、ということもありますので、機械的に「2四半期連続でGDPがマイナス成長=景気後退」というわけではないということです。諸々ほかの事情も勘案して米国の場合は最終的に全米経済研究所なるところが判断します。

さて、話がそれましたが、これまで2年半程度にわたる金融引き締め政策を行ってきたにもかかわらず、米国経済は懸念されていたほどの悪化をみせませんでした。先ほど「インフレの鎮静化と景気の悪化のバランスをみながら」中央銀行は金融政策を考えると話しましたが、まさに今米国ではインフレは沈静化してきたが、景気が悪化していない状態にあります。

そうなると、「あれ?金利ってそんなに引き下げなくても、経済は安定成長していくんじゃね?」という考えになってきたわけです。少なくとも勤め先のレポートではこういう考えをしているわけです。これまでの常識とは異なる環境のことをNew Normalとか新常態と呼びますが、まさに金利水準に関して今米国ではニューノーマルに入り始めているのではないか、ということです。これまで、インフレは抑えられるし、景気が悪化しないちょうどよい金利水準として

3.00%~3.50%がなんとなくの目安感としてあり、この水準までは利下げが行われるだろうと思われておりましたが、現在はこの水準が引き上がって3.75%~4.00%くらいじゃないか?といわれております。

ということは、米国経済はこれからは高金利環境が当たり前になるのでは?ということです。

もしこのような状況になったら、日本に住む我々にとってどういう影響をもたらすでしょうか。例のごとくここまでで長くなってしまいましたので、この辺は2025年の投資計画とも深く絡んできますので、また次のブログで書きたいと思います。

頑張って年内には書きますので、みなさんまた次のブログも読んでくれると助かります。


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