久しぶりのブログとなったが、最近本業がそこそこ忙しく、かつちょっと本を書くのに注力していたため、こちらの投稿が疎かになってしまいました。
本業もろバレになってしまうが、今回は今日本の投資業界で密かに人気が高まっている「農地投資」について考えていきたい。
農地投資の注目が高まっている理由は下記の通りだ。
1)伝統的資産との相関が低い
2)食糧ニーズは今後も高まり続ける一方、食糧供給は需要に追い付けない状況
3)生産性向上のための技術革新や農学・農法の発展余地がまだ高く、今後も堅調な推移が予想される
それぞれについて具体的な詳細に入る前に、そもそも「農地投資」とは何なのかということをまずは今回のブログで紹介する。農地投資を通じて不動産投資のエッセンスを理解できるとともに、一般的な不動産投資との違いについても同時にこれからみていきたい。おそらくあまり聞いたことのない単語も出てくると思うので、このブログをきっかけに学んでもらえるようにそれぞれ詳述していく。
農地投資によるリターンの獲得
「農地投資」とは文字通り「農地に投資をしてリターンを得る」、というものである。ではどのようにして農地からリターンを得るのかというと、大きく下の2つによる方法に分けることができる。
1)リース形態:保有する農地をテナントに貸して賃貸収入を得る
2)カスタム形態:保有する農地をオペレーター(農業従事者)に栽培させて、収穫物の売却益をリターンとして得る
それぞれについてみていきたい。
1)リース:保有する農地をテナントに貸して賃貸収入を得る
こちらは一般的な不動産投資と同様のスキームなので、理解しやすいと思う。農地を取得後、テナント(農家、農業従事者)に農地を貸し出して、定期的な地代(農地の賃貸)収入を得るというものだ。キャッシュ・リースやキャッシュ・フレックスなどの手法がある。厳密にはキャッシュ・リースとキャッシュ・フレックスは一部違いがあるが、詳細は一旦省略する。
栽培する作物は一年生作物だ。一年生作物とは単年で作付けから収穫までが完結する作物であり、トウモロコシや小麦、綿花などが含まれる。
一年生作物は食用にせよ、家畜のエサ用やバイオ燃料用にするにせよ、作物としての付加価値がつけづらいため、収穫物の売却益はテナントが享受できるようにして、投資家としては定期的かつ安定的な賃貸収入を得ることにフォーカスする、というのがリース形態の農地投資におけるリターンの獲得方法だ。
一般的な不動産投資をイメージしてほしい。例えばマンション1室を買って、誰か貸して、そこに住んでもらう。住んでいる人から受け取る月々の家賃があなたのリターンの源泉だ。こちらは直感的にも分かりやすい。
・リース形態のメリット・デメリット
メリット:リターンはあくまで地代収入なので、作物価格の変動や国際的な作物の需給環境の変化によるリスクを回避することができる
デメリット:次に説明するカスタム形態よりもリターンは低くなる傾向にある。
2)カスタム:保有する農地をオペレーター(農家、農業従事者)に栽培させて、収穫物の売却益をリターンとして得る
カスタム・ファームと呼ばれる形態の農地投資手法だ。こちらは農地を獲得して、その農地の栽培等農業関連業務をオペレーター(農家、農業従事者)に委託する。オペレーターが栽培・収穫した作物の売却益を農地保有者(投資家)とオペレーターの2者で山分けをする。ただし、投資家は農地を保有しているため優位な立場にある(逆を言うと農地を取得するという追加的なリスクをとっている)ため「山分け」といっても単に50:50に分けるのではなく、分け前は投資家のほうが高くなる。
栽培されるのは、ピスタチオ、アーモンド、柑橘類、オリーブ、アボカド、ワイン用ブドウなど多年生作物と呼ばれる作物だ。多年生作物は一年生作物と異なり、作付けから収穫まで複数年を要するものであり、特にフルに収穫できるまでに5年以上かかる場合もある。
多年生作物は付加価値がつけやすい。ワイン用ブドウを栽培し、人気のワイナリーにブドウを卸すことができれば、ブドウのブランド価値が上がり、売却単価を引き上げることができる。または、近年は特にアボカドやナッツ類などの消費者人気が世界的に高まっており価格が高騰しやすい。マーケティング次第ではこちらも売却単価を上げられる余地がある。
したがって、カスタム・ファーム形態の農地投資においては、収穫される作物の売却益がリターンの源泉だ。ただし、天候や自然災害など外部要因によって収穫高は毎年変動するため、売却する際には卸売業者との間で長期売買契約に基づく最低価格保証などを付与して、毎年の収穫高変動のリスクを緩和する取り組みも行っている。
・カスタム・ファーム形態のメリット・デメリット
メリット:付加価値がつけやすく、また国際的に人気が高まっている多年生作物を栽培することで高位なリターンの獲得が期待できる。
デメリット:一年生作物と異なり、作付けから収穫までに相当期間を要する。灌漑施設やパッケージング(包装)施設の設置など設備投資が必要で投資初期はマイナス・リターンになりやすい。
不動産投資に置き換えると、こちらは「バリュー・アッド」と呼ばれる投資手法に近い概念だ。「バリュー・アッド」とはまさしく「バリュー(価値)」を「アッド(加える)」という意味であり、例えば保有する商業用不動産にリノベーション工事などを施して、内装をきれいにしたり設備を最新のものにしたりして、不動産としての魅力を高める(その分初期費用が掛かる)。そして、そこに例えばおしゃれなブティックやカフェなどを店舗営業させて、その店の売り上げ(収穫物の売却益)に連動したリターンを得る、というアプローチだ。
初期費用が掛かる分、リース形態よりも投資段階ではマイナス・リターンとなりやすいが、魅力的なテナントを惹きつけることで高位なリターンを得ることが期待できる。リスク、リターンともに高い不動産投資手法だ。
一年生作物栽培用農地からの地代収入も多年生作物栽培用農地からの作物の売却益も「定期的なリターン」という意味ではいずれも「インカム・リターン」というカテゴリーに分類できる。
このほか、農地としての魅力が高まったり、栽培している作物の需要が大きくなったりして、農地自体へのニーズが高まり、農地価格が上昇する場合もある。この上昇した農地価格が農地の取得額(および初期に行った設備投資)よりも十分に魅力的な水準であれば、農地を売却してリターンを得るということももちろん想定される。このような「農地自体の価格上昇による売却益」は「キャピタル・リターン」という。
このように、農地投資には一般的な不動産投資のエッセンスが多分に含まれている。
ここから、農地投資の特徴かつ魅力について話していきたいと思うが、ここまでで結構分量が長くなってきてしまったため、一旦区切ることにする。
推奨株の動向アップデート
グロース株 | 推奨日株価 | 直近株価 | 騰落率 |
ロング推奨 | |||
任天堂(7974) | 46,840 | 59,020 | +26.00% |
ソニー(6758) | 6,706 | 8,100 | +20.79% |
スクエアエニックス(9684) | 4,490 | 6,990 | +55.68% |
バリュー株 | 推奨日株価 | 直近株価 | 騰落率 |
ロング推奨 | |||
ナガセ(9733) | 5,400 | 5,830 | +7.96% |
ショート推奨 | |||
ルネサンス(2378) | 1,051 | 959 | -8.75% |
セントラルスポーツ(4801) | 2,498 | 2,517 | +0.76% |
ここもと、世界的に株式市場は調整局面を迎え、変動性が高まっている中、引き続きロング推奨銘柄は高位なリターンを維持している一方、ショート推奨銘柄はマイナスまたはプラスの場合であっても小幅な水準に留まっている。
ロング推奨銘柄に関しては今後も上昇余地が高いと考えるので引き続き保有を継続するが、ショートに関しては、感染第2波への懸念はあれど、行政が緊急事態宣言や営業活動の自粛要請などに動く可能性は低いので頃合いをみて手じまいしても良いかもしれない。
個人的にも同じ銘柄ばかり追いかけていても面白くないので、そろそろ新しい投資テーマで推奨銘柄の発掘をしていきたいと思う。
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