食糧需要の未来 ビヨンド・ミート社の魅力


前回のブログで次回はビヨンド・ミート社について分析すると書いた。今週末にビヨンド・ミート社について分析しようと思ったが、今週すでに株価がかなり上がっているので前倒しで書いていくことにする。

前回は代替肉の中でも「植物肉」と「培養肉」に分けられることについて説明した。いずれも優れた技術であり、現在欧米を中心に猛烈な開発競争が繰り広げられている。そんな中、足元株式市場に上場している銘柄は(少なくとも私が知る限り)ビヨンド・ミート社(BYND)のみである(すでに上場してる大手食品会社が新規事業として「代替肉生産」をしている場合は除いている)。

今回はこのビヨンド・ミート社の投資妙味について書いていく。

ビヨンド・ミート社の魅力は下の3つに分けて考えることができる

ビヨンド・ミート社の魅力

1)「植物肉」と「培養肉」を比較した場合、「植物肉」のほうが市場のパイが高いと考える

2)先行者利益は強い

3)コロナ禍を受けて見直される食習慣

それぞれみていきたい。

1)「植物肉」と「培養肉」を比較した場合、「植物肉」のほうが市場のパイが高いと考える

代替肉の二大巨頭である「植物肉」と「培養肉」。完全に私の独断と偏見で「植物肉」と「培養肉」を比較した場合、それぞれの優位性は下記のようになるのではないかと考える。便宜上「〇と×」で記載するが、決して絶対的な「×」なのではなく、あくまで二者を比較した場合の相対的な優劣関係であると考えてほしい。あと私は「植物肉」も「培養肉」をリアルに見たわけでも食べたわけでもないので完全に調査を通じた印象論である。異論は認めるが異論されたところで困る。

植物肉 培養肉
「肉」としての味・食感 ×
生産コスト(値段) ×
「代替肉」としての消費者からのウケ ×
将来性

パッと思いつく項目で比較してみたが、上記のような感じなのではないかと考える。

最初の項目である「肉」としての味・食感では培養肉に軍配が上がるだろう。「植物肉」はどこまで行っても「肉のような肉じゃないもの」いわば、「究極の偽物」であるのに対し、「培養肉」は屠殺を伴わないだけで、実際に家畜の筋細胞を培養(増やして)作った「肉」だからだ。「究極の偽物」と「本物」はどちらに優位性があるのかといわれると哲学的な問題に発展してしまうが、「本物」には敵わないだろう。

生産コストを比較すると、こちらも具体的に調べたわけではないが、現状すでに実践投入(市場にて売られている)されている植物肉が一歩リードしている段階か。ただし、「培養肉」も生産コストは急激に下がってきており、2021年には市場に投入される計画だ。両方が市場に出回った場合には熾烈な競争が繰り広げられることになると思うが、こちらは(2)の先行者利益の部分で具体的に触れるが、すでに実践投入されているというのは市場シェアを獲得する上では非常に強い。植物肉の勝ちとした。

「代替肉」としての消費者からのウケに関しても植物肉の勝利とした。理由は、植物肉はビーガンやベジタリアンでも問題なく食べられるものであるのに対して、培養肉はどこまで行っても「動物の肉」であることに変わりはないので、果たしてビーガンやベジタリアンが受け入れるのかには疑問符がつくと考えたからだ。「本物の肉」であることがここで足かせとなってしまった形だ。

以上のことから、より多くの人に受け入れられるという意味で市場のパイは植物肉のほうが大きいのではないかと考えた。

将来性は両方とも甲乙つけがたく「〇」としてしまった。もはや比較するという趣旨から離れてしまっている。ただし、そもそも成長性がなければ投資対象にならない、という意味では重要な項目だ。

植物肉も培養肉も将来性は非常に高いと考える。農地投資の第3回ブログで書いたが、食糧需要は引き続き旺盛な中、供給は限られている。耕作可能農地面積にも限界があるし、こちらも以前に指摘した通り、家畜を飼育して出荷するのはコスパが悪い。でもみんな肉は今後も食べたい。台頭する新たな中間所得層を中心に今後一層食肉需要は高まる。一方で、先進国を中心に健康志向から動物性タンパク質から植物性タンパク質への転換もみられている。

このようなグローバルでのメガトレンドを勘案すると、植物肉・培養肉ともに需要は高まるだろう。各種リサーチでも市場は今後拡大するだろうとの分析がなされている。細かいことは専門家の業績をみてほしい。ググればいくらでもレポートは出てくる。

上記の比較を通じて、市場のパイがより大きい植物肉により魅力を感じる。

2)先行者利益は強い

何においてもそうだが、先行者は常に有利だ。市場の創成期から最前線のプレイヤーとして活動することは、市場での認知度、市場シェアの獲得、資金調達など様々な面から有利に働く。足元、株式市場に上場しているのはビヨンド・ミート社だけだ。

上場したことで、莫大な資金調達ができただろう。特に新製品の研究開発段階においては利用可能な資金がモノを言う。最初に上場を果たしたことは資金面では間違いなく同社にとってプラスに寄与しているだろう。

また、先行者利益は決して資金調達面だけではない。前述の通り、植物肉はすでに市場に投入されており、同社の製品は米国のウォルマートやターゲットなどの大手スーパーで取り扱われているし、ダンキンドーナツやTGI Fridaysなどレストランでも材料として出荷している。先行者は市場シェアの獲得においても非常に強い存在だ。今後競合が参入してきたとしてもよほどの優位性がない限り、一度獲得されている市場シェアを奪うのは難しいだろう。

もちろん、同社もその地位に安心しているとあっという間に足元をすくわれかねない。経営陣によるかじ取りが今後一層重要となってくるであろう。しっかりと株主はモニタリングをしなくてはいけない。

3)コロナ禍を受けて見直される食習慣

コロナ禍による対応として、米国では都市封鎖(シャットダウン)を実施したことでレストランは閉店や営業時間の短縮を余儀なくされた。

実はこのような影響を受けて、同社の業績にも下押し圧力がかかるだろうとの判断から2020年上半期は株価が低迷した。そして実際に発表された2020年4月~6月期の業績は小幅ながら赤字だった。

しかし、足元米国では経済活動が再開され、正常化へと突き進んでいる。業績は今後回復することが考えられるし、今回のコロナ禍を受けて、同社はレストランではなく小売りへの商品提供にも注力するようになった。今後再びコロナによってレストランの営業自粛が起きたとしても、4月~6月期のようなことにはならないだろうと考えられる。

また、コロナ禍によって外食が控えられ自炊が増える中で、食生活を見直す人も増えた。期せずして人々の植物肉への注目が高まるきっかけとなったのだ。

今後生産コストの低下に伴う小売価格の引き下げが期待できる中で、人々の関心が広がったことは同社事業にとっては追い風になると考えられる。

市場が開く前に書き終わりたかったので、若干雑な感じになってしまったが、以上の点を背景にビヨンド・ミート社(BYND)の株価は今後も中長期的に上昇すると考える。

実は個人的には数週間前から購入をしており、すでに二桁%の上昇益を享受しているが、後出しでは公平公正な銘柄推奨にならないので、昨日(2020年10月6日)の終値181.86ドルから、同社の株価推移を追っていくことにする。


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