コロナ禍、大統領選挙、そのほか諸々個人的なこともあった激動の2020年も残すところあと1か月となった。
米国の大統領選挙は無事落ち着きをみせ、ようやくトランプ大統領も政権移行に乗り出してくれたようで、2021年の1月にバイデン新大統領が誕生する運びとなりそうだ。
今年最も世界をにぎわせた、そして今も猛威を振るっているコロナウイルスに関しては最近有効なワクチンの開発に関するポジティブな報道もあり、市場のリスク・センチメントが改善し、世界的に株高が進んでいる。
米国では2021年1月~3月期に財政出動による追加的な景気刺激策が打たれるとみられ、来年も景気回復基調が継続すると期待されている。
企業決算も当初悲観されていた時よりも好決算となっており、株式市場の上昇を下支えしている。
仕事というよりももはや個人的な趣味で米国株式市場の動向は日々ウォッチしているが、最近の株式市場をみていて気付いたことは「GAFAの上昇が鈍い」ということだ。
ここもとのグロース株動向
下の図は2020年9月末~足元(11月27日)までのグーグル(GOOG)、アマゾン(AMZN)、Facebook(FB)、アップル(AAPL)と株式市場指数としてRussell 3000(RAY)、SP500(SPX)の株価推移を9月末を100と指数化した時の動きである。
出所:Bloomberg. 2020年11月29日時点
2020年9月30日時点を100として指数化
ご覧の通り、グーグルは9月末対比で20%以上値上がりしている一方で、アマゾン、アップル、Facebookパフォーマンスは市場指数の下回っていることがわかる。
これまで株式市場の上昇を牽引してきたGAFAだが、足元は伸びが鈍い。市場にて割高感が出ていることの一つの証左であるといえる。
グロース株からバリュー株への転換の兆し
より広く株式市場を分析するとまた面白い傾向をみることができる。
2018年ごろから米国株式市場はグロース株(成長株)がバリュー株(割安株)をアウトパフォームしてきた。GAFAもFANGもいわゆるグロース株である。
下はRussell 3000 Value Index(RAV)とRussell 3000 Growth Index(RAG)の推移を指数設定来(設定日を100と指数化)してみたものだ。こちらをみると、多少の乖離はあるにせよ、1994年1月から2016年12月ごろまでは両者に大きな乖離はみられなかったものの、2017年以降グロース株のアウトパフォームが著しく大きくなっている。そして、コロナ禍の最悪期(2020年3月)以降明らかにグロース株の上昇が異常だ。あまりにも上がるスピード早すぎるようにみえる。今後はグロース株の失速とバリュー株へのシフトがみられると予想する。
有効ワクチンの開発・普及に伴うコロナ禍の収束、景気回復の本格化と今後も株式市場の上昇トレンドは続くだろう。しかし、すでに割高になっているグロース株と比較すると、バリュー株のほうが投資妙味は高いといえるだろう。
出所:Bloomberg. 2020年11月29日時点
1994年1月1日時点を100として指数化
実際、2020年9月末~足元(11月27日)までのRussell 3000 Value Index(RAV)とRussell 3000 Growth Index(RAG)の推移を9月末を100と指数化してみたものである(下図)。こちらでもこの四半期はバリュー株がグロース株をアウトパフォームしている様子をみることができる。
これは今年初めてみられる初めての傾向だ。下のグラフをみる通り、年初来でグロース株とバリュー株の推移をみると、グロース株がすでに30%超値上がりしているのに対し、グロース株は2%超下落している。グロース株の相対的な上昇余地は限定的かつバリュー株への資金シフトが今後も進むと期待している。
出所:Bloomberg. 2020年11月29日時点
2019年12月31日時点を100として指数化
2020年は予期せぬ未知のウイルスによって突然景気減速が起きたが、逆にこれにより、景気サイクルは一気に進行し、今は景気回復局面へと針がふれている。
米国では大統領選挙が無事終わり、政治リスクも相当程度解消された。ワクチン開発に関する好ましいニュースも市場および投資家心理を下支えすることだろう。
2021年も経済の回復、市場の回復基調は続くだろう。
その時どこに投資妙味があるか。
3年超におよぶグロース株の優位性が弱まり、バリュー株の巻き返しに期待する。
いつもの推奨銘柄パフォーマンス・アップデート
グロース株 | 推奨日株価 | 直近株価 | 騰落率 |
ロング推奨 | |||
任天堂(7974) | 46,840 | 58,190 | +24.23% |
ソニー(6758) | 6,706 | 9,812 | +46.32% |
スクエアエニックス(9684) | 4,490 | 6,160 | +37.19% |
バリュー株 | 推奨日株価 | 直近株価 | 騰落率 |
ロング推奨 | |||
ナガセ(9733) | 5,400 | 5,440 | +0.74% |
ショート推奨 | |||
ルネサンス(2378) | 1,051 | 892 | -15.13% |
セントラルスポーツ(4801) | 2,498 | 2,184 | -12.57% |
コロナウイルスの感染第3派が起きており、株式市場は再び勝ち組銘柄と負け組銘柄の間で明確な乖離が出てきている。
ロング銘柄は基本的に反発。年末年始の巣ごもり需要期待でゲーム・セクターの株が好調。
オンライン学習塾大手のナガセだが、ここにきて失速。オンライン授業に強みを持っているものの、対面授業やイベント(夏期講習等)の中止が響き決算はそこまで良くない模様。ただし、引き続き他塾対比ではオンライン授業プラットフォームの充実さには優位性があると考えている。
グロース株 | 推奨日株価 | 直近株価 | 騰落率 |
ロング推奨 | |||
ビヨンド・ミート(BYND) | 181.86 | 142.20 | -21.81% |
早くも140ドル台まで回復。決算が軟調で一気に下落したがその後は急速に買いが入っている状況。個人的には値下がり局面で追加投資を行い平均購入単価は152ドル台まで下げられた(もともとは175ドルほどだった)。年内には損益分岐点を超えるだろうと期待。
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