2021年8月22日 午前7時半 都内某所
本日32回目の誕生日を迎える俺は、特別な思いで今日を迎えていた。
今日が誕生日だからではなく、今日が第1回京大入試実践模試の日だからである。
遡ること13日前、2021年8月9日
今でもボケ防止と趣味の一環で高校の時の問題集を暇なときは解いている俺なのだが、俺はこの趣味を「京大チャレンジ」と呼んでいる。
別に直近京大に行く予定も、つもりも、考えもない、というかそもそも受かってもいないのだが、何となくいつかまた京大にチャレンジする日が来るかもしれないと思って勝手にこう呼んでいる。
そんな話しをこの日友人としていると、せっかくなら京大模試でも受けたらいいのに、というような話の流れに。
そんなこんなで調べてみると、8月22日に駿台の京大模試があることがわかる。この日が自分の誕生日であることよりも申し込み締め切り日が8月13日であることのほうが気になった。
これ、ワンチャン受けようと思えば受けられるぞ。逆に受けなかったらなんか逃げた感じになるぞ。
そんな俺以外の人間であれば、まずならないであろう思考に陥り、ノリで受けることを決意する。人生ノリで生きている俺である。ちなみに7800円もした。結構模試ってたけーんだな。マジで親に感謝感謝ですわ。
そこから俺の挑戦が始まった。
朝は5時に起きて読書(これはいつもの習慣だが、京大模試に合わせて読む本をちょい難しめの、普段読まないような本をセレクト)、19時頃には仕事を終え、そこから毎日2~3時間の勉強。数ⅠAⅡBの問題集を1日1ページずつ進める、地理の参考書を寝る前にうとうとするまで読む、週末はまだ家にある「京大理系」の赤本の英語を解く。というまったくもって適当な京大模試対策をする。
そんなこんなで時を現在に戻して、2021年8月22日午前8時半、俺は都内某所にある駿台校舎前に来ていた。
まだ校舎が開いていないようで、入り口前には同じく模試の受験生と思しき少年が1人、参考書に目をやっていた。
齢17~19の少年の隣に、齢32のおじさんが並ぶ。こいつ俺が中学生くらいの時に生まれたのか~っと思うとなんとも不思議なめぐりあわせ。俺がこんなあほなことしなきゃまず隣に並ぶこともなかったであろうと思うと、不思議となんだか親近感を覚える。
しかし、少し離れたところに今度は女子高生と思しき女の子が立ったのでこの少年への興味・関心はゼロになる。すまんな。俺はそういう男だ。
みんな参考書とか単語帳に目を通している中、おじさんはレッドブルを飲みながら、こんなあほな挑戦を笑ってくれる友人とライン。俺が一番現代っ子っぽい。
8時半開場。東京で受ける京大模試だからなのか、はたまた俺が申し込んだこの校舎が小さいせいか、文系・理系それぞれ1教室分で収まるらしい。少なっ!
1科目 国語 9時~11時
現代文、現代文。古典の大問3問構成、150点満点。
古典はもう俺の人生に必要ないと決め込んでいるので、120分使って、現代文2問に全集中する。
最初から50点失うことになるが、仮に京大を受けるとしても、俺は古典だけはもう勉強する気にはなれんので、現代文でできるだけ100点を目指し、100/150を目指す戦法。
受験生であればなかなかできない捨て身作戦だが、俺に失うものはないので、この戦法でいく。
大問1
普段の小説はそのほか雑多なことが気になって全然集中できないけど、小説を書く前の切羽詰まった読書は集中してできる、みたいな話の文章。
国語の記述問題なんてほんと受験生時代以来なので13年ぶりくらい。時間配分60分だったが、75分くらい使ってしまった。
大問2
詩人における「言葉」と小説家や新聞記事における「言葉」は同じ「言葉」であっても、その意義が違う、みたいな文章。また小説家が出てくる文章。。
小説や新聞記事の「言葉」は事柄の真を捉えるのに対して、詩における「言葉」は事柄の真を離れて、言葉自体の真となる、みたいなよくわからない文章。こちらを残りの45分くらいで解く。
京大の国語って、問題の文量はそんなに長くなくて、小難しい文章の意味をいかに捉えるかみたいなのが問われるんだな~と、模試を受けながら初めて知る。考えてみたら京大の国語の対策って全くしなかったわ。
大問3 古典
一ミリも目を向けてないので知らん。
試験終了。
すでに疲労困憊。右腕にもう力が入らない。記述式って大変やな
15分休憩後に2科目の数学が始まる。インターバル短すぎじゃね?おじさんもう疲れたんだが。。
2科目 数学 11時15分~13時15分
大問5問構成、150点満点。
数学。物理と同率1位くらいで好きな科目なんだが、この2週間で数ⅠAⅡBの復習ができたのはそれぞれ半分くらい。数列、指数対数、ベクトル、三角比、三角関数、を完全に捨てるという無謀な状況で試験に臨むことになる。というのも、この2週間思いのほか仕事がくそ忙しく、全然勉強ができなかったのだ(言い訳)。1日1ページずつ進めるのが精いっぱい。なんなら進められずバタンキューする日もあった。ほんとすみません。
そんなわけで、正直全問白紙、ゼロ点も覚悟した数学である。
試験開始、まずは全体を見回してみる。
大問1
(1)げ、いきなりベクトルやん。しかも空間ベクトルやん。
(2)げ、対数やん。対数と数列を絡めたような複合問題。両方捨てたんですが。
とりあえず見送る。
大問2
典型的な微積問題。微積は昨日2時間ほど勉強したんだが、いけるかね?
とりあえず見送る。
大問3
確率。なんか数独みたいに3×3の9マスの表に入る数字の組み合わせみたいな問題(語彙力のなさ)。確率捨てたんだけど、まずかったか。
とりあえず見送る。
大問4
三角形が出てきたので図形かな?と思ったが角度の表記が弧度法なので三角比?かな?三角比捨てたんだよなー正弦定理・余弦定理あたり使えば解けそうだが、正弦定理ってなんだっけ?状態だった。
とりあえず見送る。
大問5
10進法がどーのこーのでそれに数列を絡めているような感じ。もう問題文読んだ瞬間にこれが最難問であると見切りをつける。
とりあえず見送る。
ということで、初見ですべてを見送った。見事にゼロ点確定。果報は寝て待てということで、諦めて寝ようかなと思う・・・わけもなくとりあえず大問2から手を付ける。
はいはい、接線の方程式ね~昨日やりましたわ。余裕っすわ。こ、これ、赤ペン先生で出てきたやつや~を地で行き、回答。答えもきれいに出たし、あってるかな?あれ、これもしかしてワンチャン行ける?
続きの問題、2つの関数で囲まれた面積を答える問題。ハイハイ、さっきが微分で今度は積分ね。悪いけど俺関数は得意なんですわ~ということで、2つの関数の交点求めて、その範囲で積分。
これも分数ながらそれっぽい答えた出た。ということで完答。
さて、もうあとは全部この2週間で手を付けられなかった単元のところや。もう無理や!
と思ったが、とりあえず大問1の(1)は簡単なんじゃね?と思いながら、座標空間に状況を図示してみて、点と点の位置関係を探る。
あれ?これなんか俺解けるかもしんね。空間ベクトルってどうやって使うんだっけか。と思いながら、とりあえず解いてみると思いのほかすらすら解けて、それっぽい答えが出る。
続いて、大問3。確率の問題。
確率の問題の最終奥義は「題意を満たす条件の事象をすべて数え上げる」というもの。残り時間はまだ60分近くあるし、まあ暇つぶしに事象数え上げてみるか~なんて思いながら、まずは全部で事象がどれだけあるかカウント。9の階乗通り。これは数え切れんわと思いつつも、題意を満たす条件で事象を絞り込んでいくと意外に整理がついてきたぞ。
最後X=Y=3ってなる事象を2重でカウントしてるから、その分を引かなくちゃいけないんだが、どうすればいいんやこれ。ってなり、何とか最後までやったが、最終的に出てきた答えがなかなか汚い数字だった。たぶん間違ってるけど、途中点多少はもらえるんじゃね?ってことで一応2完。
まだ時間40分くらいあるな~ってことで、大問1の(2)をもう一度みてみる。
12800の全約数を小さい順に並べて、それぞれ常用対数化してその合計を小数点第1位まで求める問題。
約数系の問題、俺が受かった年の慶應経済にも出たな~懐かしいな~あの問題マジで簡単すぎて逆に不安だったな~なんて思い出に浸りつつ、たしか約数の数求める時って最初に素因数分解すんだっけな、とこちらも12~13年前の記憶を頼りに解いてみる。
素因数分解すると12800の約数30個か。なんだ、だったら最後は気合で数えてもええな。と思いつつ、小さい順に並べて、常用対数化してみると、あれ、これ一部等比数列になってね?と気づき、一気に答えへと近づく。
しかし、不勉強わい、等比数列の和の公式をここで痛恨の失念。何とか導出しようと試みるも、対数化されているせいか、答えがいまいちしっくりこない。そんなこんなで何とか答えは出したが、少数第1位が0になるという微妙な結果となり、なんか違うんだろうな~と思いつつも一応完答。
残り時間数分だったので、適当に見直しして、少なくとも大問2だけはあっててくれ~と思いつつ、終了。
結果的に5問中3完するという、勉強期間2週間にしてはなかなかの出来だったと安心する。空間ベクトルをほぼ忘れかけていた中、対応できたのと、約数の問題で等比数列を発見したのは我ながら嬉しかった。まあ答えは間違っているだろうが、記述式だし途中点に期待。
50分の休憩。いや、だから休憩時間短くね?
適当にコンビニでおにぎり買って、残りのレッドブル飲みながら流し込む。コロナ感染予防ということで黙食だったんだが、弁当組とコンビニ飯組が半々くらいかな?コンビニ飯組が結構多いことに驚き。
しかし黙食って味気ないね。今の学校ってこんな感じで飯食ってんのかと思うとホンマかわいそうだわ。高校時代とか友達と昼めし食うのが何より楽しかったのにな。それが味わえないなんて
なんて思いつつ、早休憩時間50分終了。続いて大注目の英語。
3科目 英語 14時05分~16時05分
大問4問構成、150点満点。
京大英語。京大英語ほど京大らしさ、その特異さを表す科目はないだろう。文法問題も穴埋め問題もなし、あるのは和訳、和訳、英訳。これだけ。和訳と英訳に文法、構文、語彙力、読解力のすべてのエッセンスが入った至高の問題。ほんと京大英語好き。
ということで、和訳、和訳、英訳とか、もはや本業の俺。唯一この2週間もほとんど対策しなかった英語。
しかし、こちとら本業が翻訳業みたいなもんだし、なんてたって、わいアイビーリーガーよ?英語だけはマジで満点、全国1位とるつもりで気合を入れる。
試験前、問題用紙の表紙を読む。
「英語は大問4問構成で~」
え。あれ?大問3もんじゃねーの?和訳(大問1)、和訳(大問2)、英訳(大問3)。これだけじゃないの?何大問4問って。京大英語よ、10年超の時を経て、出題傾向が変わってしまったのかい?大衆迎合して、くだらない文法穴埋め問題なんか作ってしまったのかい。あたしゃさびしいーよ。と思いつつ、試験開始。
想定外の大問4問構成が気になったので、パラパラ―っとめくる。
大問1:和訳、良し。
大問2:和訳、良し。
大問3:英訳、良し。
ってか、いつもどおりやん。なんや大問4って。
大問4:英訳。
いや、英訳かーい。ってことで俺の好きな出題形式は10年の時を経て強化されたらしい。
こちらは和訳に時間を十分に取りたいので、まずは英訳からやっていく。
大問3 英訳
与えられている日本語文を英語にするというもの。俺が受けた時から変わらないこの形式。
こちとら、毎日くそ客のくそ問い合わせをくそ英語にしてくそアメリカ人に送っとんじゃ!英訳なんか朝飯前だわ!ってことであっさり英訳。イージーファイト。
大問4 英訳
こちらは課題英作文で与えられたテーマに関して50単語程度の文章を2つ書くというもの。一つは身近なプラシーボ効果の例。もう一つがノシーボ効果(プラシーボ効果の反対)の身近な事例を書くというもの。これなんかもはや英語力を問うというよりも身近にそんな例ねーよって感じのほうが強い問題だった。なんだよノシーボ効果って初めて聞いたよ。
プラシーボ効果はとりあえず難なくかけたが、ノシーボ効果については事例が浮かばなかったので、飛ばして、和訳に入る。
大問1 和訳
大学数が世界的に増え続けている中、その存在意義が問われているみたいな話の文章。大学とは何か、大学の役割とは、という割と関心の高いテーマだったもんで、ほぼほぼうまく訳せた。一部わからん単語があったので、減点されるかもしれないが、それにしてもまったくわからんというような内容ではなかった。イージーファイト
大問2 和訳
人間と動物の認知能力の差について。これまでは動物と人間を明確に分けて、それぞれ研究されていたが、人間だって動物の一種だよ?なぜ別々に考えるんだい?というクリロナ的指摘が入ったことから今日では人間・動物という区別なしに研究が行われている。みたいな文章。
こちらは(2)の一部分だけ文章のつながりがみえなかったのだが、試験時間終了数分前につながりが見えたので、そこを急いで修正。なんとかこちらも全問それっぽく回答できただろう。
大問4
ノシーボ効果。
「ノシーボ効果はプラシーボ効果の反対」との説明があったので、俺は「本当は効果があるのに、効果がないと思い込んでしまうこと」と考え、そのような事例を書いたんだが、ノシーボ効果の意味は「本当は効果がないのに、(身体に)悪影響をおよぼすもの」みたいな意味らしい。それ、プラシーボ効果の意味の反対じゃねーじゃんってアスペな俺は思うのだが、いかがだろうか。
とにもかくにもこのノシーボ効果の事例がうまく浮かばず変なのを書いてしまったかもしれない。英文に問題はほとんどないだろうが、減点されるんだろうな~なんか本質的なこと(英作文力)以外で減点されるの悔しいな。
ということで、英語はまあ全国トップ10くらいにはそれでも入っていたい。みんなどのくらいできてんだろ。まったくわからん。
15分休憩。おじさんもう体力の限界なんだが。
4科目 地歴(地理)16時20分~17時50分
大問5問構成、100点満点。
地理。こちらも模試申し込み後2週間しか勉強できていない。地誌まで復習することはもちろんできず、系統地理の前半部分までしか目を通せていない上に、やれ山脈名だのやれ河川名だの覚えてられん。昔白地図に書き込んだんだけど、あの白地図どこいったかな。捨ててないと思うんだが。
ということでこちらもほぼノー勉状態。しかし俺には持論がある。「地理は一般常識と人生経験があれば解ける」。ということで、ラスト1科目頑張っていこう。
大問1
いきなり、欧州のくそマイナー(俺の中で)の河川名を答えろだの、河口付近にできる地理的特徴を説明しろだの、がちがちの暗記系。短答式をほぼほぼミスるも、記述式はキーワードは捉えているので、部分点に期待か。
大問2
北アメリカ大陸に関する問題。工業系、都市機能系、社会学系、とまあまんべんなく問われるも、アメリカの都市名答えさせる系は任せておけ。わいはアメリカ在住経験があるんや!カナダで分離独立運動があった地域なんてケベック州しかないやろ!と人生経験と一般常識で乗り切り、短答式、記述式ともにそこそこ答えられる。てか京大地理レベルでケベックの話とか出るんやな。実は簡単なんかね、京大地理って。ちなみに最初ケベックが出てこなくて、ケロッグって書いてた。それ、コンフレークだわ。
大問3
食料自給率に関する問題。こちらも一般常識系。欧州の農業大国なんてフランスしかないやろ!穀類多いのはドイツやろ!あいつらパンばっか食ってるからな!残りは消去法でイタ公だろ!と一般常識と独断と偏見で、国別の自給率に関する問題は全問正解。日本の食料自給率が低い理由、飼料作物の輸入が増えた理由など、新聞読んでりゃ、てかテレビでもいくらでもこういうの放送されてるやろ!ってことでこちらも結構短答式、記述式いずれも正解率高し。「フードマイレージ」を「カーボンフットプリント」と答えてしまうお茶目っぷりもあったが、そこそこ得点できたはず。
大問4
世界の空港の特徴と輸出入に関する問題。
こちとら、コロナ前は世界中飛び回ってたわ!なめんなや!ってことで、短答式はそこそこ答えられたし、記述式もキーワードは抑えられたかと。しかし、京大地理マジで結構解けるんだが。
大問5
亀岡市の地図をみながら答える問題。
こちらも常識的な出題が多く、また、俺自身わりと地図見るの好きなので、その辺の人生経験で解いてみる。短答式はそこそこあっていたのと、記述式もキーワードは抑えられたかと。
ということで2週間しか勉強してない割には50~60点くらいは取れたんじゃないかな。そんな甘くないのかな。記述式まったく途中点もらえなかったら30~40点くらいかも。わからんけど。
ということで無事終了。
模範解答もらったのでさっそく答え合わせ。
数学
大問1
(1)〇
(2)×(途中点に期待)
大問2
〇
大問3
×(途中点に期待)
大問4,5×(そもそも手を付けず)
ということで数学は1.5完が確定。残りの1.5でどこまで途中点もらえるか。
想定得点45(確定)~60(予想途中点混み)/150
地理
地理の正答率は画像の通り。
〇は正解(主に短答式)
×は明らかに間違えた
△は記述式でキーワードは拾えてたもの。満点くれるのか、途中点なのかはわからないのでとりあえず△とした。見た目的に40~60/100くらいか。
英語、国語はすべて記述式なので、自己採点はしないでおきました。結果発表に期待。
感想
駿台の教室のあの、なんだろ。消しゴムと鉛筆と紙の匂いとか、試験前の緊張感とか、試験中に鉛筆が紙の上をすべる音とか、終わったときの達成感とか。
なかなか大人になってから味わえないというか、忘れかけていたような懐かしさと高揚感で楽しい誕生日やった。
32になりましたが、相変わらず見た目は大学生みたいな感じなので、マスクもしてたし、模試でもほとんど目立つことなく、過ごすことができました。
模試の返却日は9月24日のようです。結果ももちろんこちらに書きます。