新年あけましておめでとうございます。
2020年から始めたこのサイトも紆余曲折を経ながら、晴れて2周年を迎えようとしております。ひとえに(数少ない)読者の方と私の見返りを求めない執筆意欲の賜であると考えています(笑)
新年最初の記事が前回からの続きというなんとも計画性のなさがこのブログらしい。(そもそも「記事」なのか「ブログ」なのかもその日の気分で表記がまちまちだ。今後は「記事」に極力統一していく)。
さて、前回まで3回に分けて、不動産業界の闇について書いてきたわけだが、今回はいざ賃貸に出す、となってからのお話をしたいと思う。
このシリーズ最初の記事で不動産会社が提示してきた想定家賃があまりにも低くて失笑したという話をした。
個人的にはもっと高くても借り手は付くだろう、との判断の下、周辺相場だの、不動産会社からのありがたいアドバイスだのをとりあえず一切無視して推奨家賃よりも3割ほど高い家賃設定で募集を開始してもらった。
募集を開始したは良いものの、やらねばならないことは山積していた。ぱっと思い浮かぶだけでも下記のものが挙げられる。
・火災保険に入る
・カーテンレールを新調する
・各部屋にエアコンをつける
・借り手が入るまでにハウス・クリーニングを行う
それぞれについてみていきたい。
火災保険に入る
火災保険に関してはこのシリーズの2つ目の記事で一部詳述した。私は結局ハウス・メーカーがおすすめしてきた保険には入らずに、自分で各損保のサービスや保証内容などをみて、保険料の見積もりをとって、契約した。もちろん補償内容などは大きく異なるので、単純比較はできないが、僕自身は満足する内容の補償内容で保険料はおすすめされたものの5分の1で済ませることができた。
カーテンレールを新調する
諸般の事情があり、カーテンレールを新調することになった。募集活動を代行してくれる不動産の管理会社が提携というか懇意にしている工務店の人に来てもらって、見積もりをとってくれたが、僕が望むクオリティ(静音機能、グレード、色)でないのに、そこそこ高い金額を提示された。
いやいや、なんでこっちの希望の品でもないのにこんなに金払わなあかんねんとこちらも持ち前のドケチ精神を発揮し、自分で近所の工務店を周り、カタログを見ながら要望を伝え、ほぼこの工務店が提示してきた金額と同じくらいでカーテンレールを新調することができた。
各部屋にエアコンをつける
僕は非常に暑がりなんだが、その反面、エアコンの冷風は苦手だという非常にめんどくさい体質だ。どんなに暑い日でも、エアコンよりも扇風機くらいがちょうどよく感じてしまう。夏場はエアコンを一日中つけっぱなしなんて人が信じられないくらい、暑がりでありながらそれと同じくらいに寒がりなのだ。
ということで、個人的にはエアコンはリビングに備え付けのがあればいいやくらいに思っていたのだが、管理会社から、借り手がみつかりやすくなるためには洋室にもエアコンを付けるべきとのことを言われた。
夏の暑い時期なんてせいぜい1ヶ月じゃん、と思いながらも、まあでもエアコンつけるべきか~と思い、こちらも前出の工務店に見積もりをとった。
松竹梅とエアコンのクオリティに応じて3つの見積もりをとったのだがこれがまた、高い。しかも、提示されたエアコンをみると、前年のモデルであり、簡単に言えば型落ちモデルだ。なんでこんな業者の在庫処分みたいなものに最新モデル並の価格を払わねばならないのかと、こちらも工務店のアドバイスを無視。
自分でYou Tubeのエアコン比較動画をみたり、カタログを見比べたり、家電量販店の売り子に質問したり、自分でエアコン事情というものを勉強した。
最終的に近所の家電量販店から自分で取り寄せ、エアコン界ではおそらく最も高級なメーカーの最新モデルを工務店の提示してきた金額よりも安く取り付けることができた。もちろん工事費込である。
夏場は過ぎていたので、比較的早期に取り付けまでできたことや、家電量販店としても一度に2台買ってくれるのはありがたいのか、勝手に色々割引してくれたし、ポイントも余計に付けたりしてくれた。いたれりつくせりだ。これで前年の型落ちよりも安く済んだんだから、本当に世の中なんなのかと私は言いたい。
借り手が入るまでにハウス・クリーニングを行う
最後に賃貸人が入るまでにハウス・クリーニングをしろというのだが、これがまたいやはや高い。1平米1000円とかだったと思うが、クリーニング代は家の平米分取るくせに、実際にクリーニングするのは水回り(キッチン、トイレ、風呂)だけらしい。なら、水回りの平米だけでやれと言ったがそれはダメらしい。馬鹿げている。
こちらも管理会社と相談しながら、彼らが提携している業者ではなく勝手に僕の方で業者選定をして、作業してもらって良いとのことだったので、早速そういった御用聞きをしている友人に連絡をとって、依頼をした。事情を飲んでくれて、格別に安くやってくれるということで話は決まった。
業者の提示してきた金額の10分の1くらいの金額で、おそらく業者よりも10倍熱心に作業してくれた。もちろん私も一緒に加わって、トイレ掃除や水回り以外のフローリング、テラス、窓などを大掃除した。
友人たちとあーだーこーだ言いながらやるのは楽しかったし、何よりもピカピカになっていく我が家をみるのは非常に嬉しかった。作業後に一緒に食べた食事は格別の美味しさだ。
必要な作業のすべてが終わり、ふと冷静になって私は考えた。
この管理会社何もやってなくね?
確かに、私に代わって募集活動はしてくれているが、募集活動自体はどこの業者でもやってくれる(というか私はそういう資格がないからできないわけだが)。カーテンレールやエアコンの取付、業者選び、モデル選び、見積もり、すべて僕自身で行ったし、ハウス・クリーニングでさえ彼らの提携(意味深)している業者よりも安くかつ広範囲に行うことができた。
そのくせ、管理会社は管理費用として借り手がみつかったら1ヶ月分の家賃分を受け取ることになる(オーナーが得られる礼金はこの管理会社への支払いに回されるからくりだ)。これは月々払う管理費用とは別のコストだ。管理会社は1ヶ月分の家賃分を受け取るのに見合うだけの働きをしたのだろうかと考えてしまう。
僕らがお金を払う理由
僕らは日々様々なモノやサービスにお金を払っている。なんなら日々の行動の全てにお金がかかっているといっても過言ではない。
- 朝起きて歯を磨くときには、歯ブラシ、歯磨き粉(いずれも減価償却)、水道代がかかる。
- 外食をすれば、支払う食事代には調理の手間代、サービス代、場所代などがかかっている。
- スポーツ・ジムに通っているのであれば、月謝には施設利用料、設備利用料、場所代などの物理的なサービスの他、トレーナーからのアドバイスなど目にはみえないサービスも含まれている。
それでも僕たちが喜んでお金を払っているのは、「自分ではできないこと」や「自分ではめんどくさいこと」に追加的なお金を払うことを良しとしているから。
外食で出てくる料理を自分で作ることはもちろん、一定程度の料理スキルがあれば可能だ。しかし、材料を集める手間、調理をする手間、自分で作るよりも美味しいというクオリティの違い、快適な空間で過ごせるという特別感に、原価(食材費と光熱費)以上のプレミアムを払っているわけだ。
今回の賃貸に出すまでのプロセスを振り返ってみる。カッコ内には誰が解決したかを記載する。当たり前だが、不動産売買に関わるプロセスや不動産登記や所有権の移転、賃貸借人との契約など、明らかに(資格的に)僕にはできない、専門家がやらなくてはいけない部分は省いてある。
- 最も条件の良い住宅ローンをみつけてくる(僕)
- 最も僕の好みに合う火災保険をみつけてくる(僕)
- 物件で発見した欠陥を修理する(僕)
- 物件の家賃設定をギリギリ借り手が付くであろう理想的な金額を模索して設定する(僕)
- 管理会社は募集人をみつけるための募集行為をする(管理会社)
- 高級メーカーの最新モデルのエアコンを安く仕入れる(僕)
- 多機能カーテンレールを安く設置する(僕)
- ハウス・クリーニングに安く仕上げた上に、業者よりも広範囲で大掃除を行う(僕)
もちろん、これらは僕視点での話なので、業者には業者の言い分があるだろう。すべてにおいて僕のほうが良いなんて言うつもりはもちろんない。
しかし、僕達がお金を払っているのは、お金の受け手の専門性や付加価値にお金を払っているのだ。高いくせにまずい料理しか提供できないレストランは潰れる運命にある。
今回身にしみてわかったことは、不動産の購入、賃貸に出すまでの手続きは非常にめんどくさいということだ。高級エアコンを取り付けるのも、多機能カーテンレールを取り付けるのも、賃貸人がみつからない中でかなりの初期費用がかかっている。
- 家賃設定は適切だっただろうか
- 周辺相場に従わないと借りてはつかないだろうか
- エアコンももっと低モデルで安物で良かったのではないか
- カーテンレールの色なんか気にする人はいないのだろうか
賃貸人が付くまでストレスと不安で、胃に穴が空くんじゃないかというくらい辛いときもあった。
こんな思いをするくらいなら、全部業者の言いなりになって、ただ金を払ってるだけのほうがよっぽど楽だろう。
しかし、僕は性格的にそれを良しとせず、やる気のない業者、誠意のない対応、不当な値付けを受け入れず、断固として反抗してきた。もちろん、ただの文句言いのクレーマーにならないように、論理的に質問攻めにした。業者からしたらこんなにめんどくさい客もなかなかいないと思っていることだろう。
このシリーズの第2弾でも書いたが、めんどくさいから良いや、よくわからないから言いなりでいいや、では業者の思うツボだ。もっと安く、高品質のモノやサービスを受けられるかもしれないのに、みすみすその機会を逃しているのは僕たち自身が怠けているからだ。
投資でも勉強でもなんであっても、同じだ。
人の言うことを鵜呑みにしてはいけない。あなたのことを最も理解しているのはあなただけだ。あなた以上にあなたのことを思ってくれる人もいない。
私達は「付加価値」にお金を払っているのだ。「めんどくさいことを逃れるため」だけに追加的な費用を払ってはいけない。
次回は募集行為における面白話をいくつか紹介したい