こんにちは。
せっかくのゴールデン・ウィークで、天気も良いのに特にやることもなくパソコンばかりいじっている今日このごろです。まあとは言え、お金のことばかり考えているのがもはや立派な趣味の領域にまで達してきたので、これはこれで良いということにします。
さて、米国出張土産話の第2弾を書こうかと思いましたが、最近あまり投資関連のことを書いていなかった気もするので、たまにはちゃんとした内容のことも書こうかと思います。
金利上昇で投資家センチメントは悪化
米国金利が上がっているというのはまあよく言われていることですが、日本の金利も上がってきていますね。金融にいるのになんで米国金利の上昇が日本に波及するのかいまいちわかっていませんが(笑)まあ上がっているという事実が大事なわけです。そしておそらく今後も上がるのではないかとの懸念があります。∵米国金利が上がるから。
我々一般消費者からすると別に日本国債10年の金利が上がろうと別に生活が変わるわけでもなんでもないんですけど、住宅ローン、特に固定金利の住宅ローン金利が上がる(というかすでに上がり始めている)というのは困ることなわけです。
住宅ローンの固定金利と変動金利は参照(連動)している金利が違いますので、変動金利の方は相変わらず低い水準にありますが、固定金利と違って変動金利は住宅ローン契約後も常に金利上昇リスクを気にしなくちゃいけないため決して他人事とはいえませんよね。どうなるかは神と日銀総裁のみぞ知るといったところです。
そういう緊張感が嫌な人は早く固定金利で住宅ローンを組んでしまうのが良いかもしれません。固定金利は一種の保険みたいなものなので、少し余分にお金を払って将来の安心を買うというのは良いことだと思います。
そんな中、今日は不動産投資について書いていきたいと思います。
不動産投資の魅力が減退
銀行などからお金を借り入れて、不動産投資をする。そうすると、自分の金は使っていないのに、賃料は自分の懐に入るのでウハウハみたいなロジックで不動産投資が流行っていますが、そろそろこのトレンドも終焉に向かっていると思います。
金利が最近上がってきているとはいえ、今でも過去対比金利は低い水準にあるので、借り入れコストはまだまだ低いですが、流石に不動産価格が高騰しすぎています。昔は「億ション」といえば都内一等地の新築でそこそこ広いマンションっていう認識でしたが、今ではそのへんの住宅街の築古マンションでさえ、億超えがちらほら散見されるレベルです。
これまでは東京オリンピックだから~とか、コロナで~など、嘘だかホントだかわからない理由(個人的には半分不動産業者の嘘だと思っています)で価格上昇がみられていましたが、今年に入ってからのロシア・ウクライナ情勢や世界的なインフレ、円安でたしかに今は原材料コストが上昇しているように思います。まあそれでも材料費等がかかっていない中古マンションが高騰する意味がよくわかりませんが、そのへんは新築物件がもはや替えなくなってきている人による中古住宅への需要増によるものでしょう。
返済額は金利×不動産価格で決まるわけなので、いくら金利が低くても不動産価格が高騰してしまっては低金利の旨味がなくなってしまい、結局返済負担は思いままとなっていまいます。
表面利回りとかいう絵に描いた餅
さて、不動産投資の今の利回りがだいたいどのくらいかというと、買っても良いかな?と思えるような物件では4~5%くらいです。もちろん探せば20%だの40%だの素晴らしい(笑)物件もありますが、こんなものに騙されてはダメです。
現在賃貸人なし、ど田舎、ボロ屋というありがたくない要素のために不動産価格が異常に低く、そのくせ想定(意味深)家賃XX万円とおめでたい想定に基づいて表面利回りが釣り上げられているだけで、全く参考にするべきものではありません。
まあ500万円くらいギャンブルに使っても良いという奇特な人であれば、ぜひワンチャン狙いで借金せずにキャッシュで買って遊んでみても良いかもしれませんが、将来のための資産形成!FIRE実現!などを考えている人にとってはあまりにも危ない賭けであると思います。
個人的にギリギリ買っても良いかなと思える物件の利回り水準は2022年5月現在で7.5%くらいです。これをもとになぜ不動産投資がもはや旨味がないかについてみていきます。
表面利回りではなく実質利回りを更に現実的に考える
現在の不動産投資ローンの金利は2.5%~くらいです。表面利回り7.5%の物件を全額ローンで買ったとすると7.5%-2.5%=5.0%で実質利回りは5.0%です。
なんだ、5%手元に残ればまだいいじゃないかと思うかもしれません。
ただし、不動産投資をする場合はローン返済以外にも様々な費用がかかります。いくつか挙げると下記のとおりです。
物件取得時にかかる費用
不動産会社への仲介手数料
銀行の借り入れ手数料(保証料とか印紙代とか諸々)
登記費用
これだけで物件価格の10%くらい余裕でかかります。この他、物件取得後も継続的にかかる費用として、下記のものが少なくとも挙げられます。
固定資産税
管理会社に支払う管理費
(マンションの場合には)修繕積立金、管理費
これらが諸々かかるとすると、更に1%くらい利回りは下がります。そうするとあらビックリ、利回り7.5%の魅力的な不動産投資がいつの間にか4%にまで下がってしまいました。
そして、これはあくまで「賃貸人がついている間」です。仮に将来賃貸人が離れてしまったら、一気に収益はマイナスです。そのリスクを常に抱えた中での利回り4.0%はなかなかに低いものです。
賃貸人が抜けたら、次の賃貸人を入れるために、やれ壁紙交換だ、やれフローリングの張替えだ、部屋のクリーニングだと、金がまたかかります。
しかもこの想定では不動産投資ローンの金利を2.5%としましたが、これは結構属性の良い人がそこそこ資産価値の高い不動産を買った場合であって、このローン金利を3.0%、3.5%と想定を高くしていけばそれだけ実質的な利回りはどんどん下がっていきます。
また今は利回り7.5%と仮定しましたが、優良物件(賃貸人がなかなか出ない、もしくは出てもすぐに次の借り手がつく)の場合は不動産価格が高いので前述した通り表面利回りは4.0~5.0%くらいです。そうなると実質的な利回りはもはや2.0%とか1.0%切るくらいになるかもしれません。
すまん、これやる意味ある?ってレベルですよね。
不動産投資するくらいなら米株投資するほうがマシな時代に突入
米国株の高配当ETFであれば配当利回り2.0~3.0%のものがあります。もちろん、株なので市場変動によって上下するものですし、ここから税金が取られるわけですが、それでも株式投資のほうが安心できる要素が多々あります。
簡単にまとめると下記の通りです。
1)いつでも売買できる
2)他人資本(借り入れ)に頼るわけではないので、現実的な額に投資額を抑えられる
3)長期保有すればワンチャン値上がりも期待できる
それぞれみていきましょう。
1)いつでも売買できる
何と言っても株の良いところは、いつでも売れることです。株価が下がってきて売るのは個人的には愚かだと思いますが、まあそれでも毎日評価損をみるのが嫌なのであれば、いつでも撤退できます。逆に、また投資しようかなと思えばすぐに参入できます。
不動産となればそうはいきません。買うのにも数百万の手数料がかかりますし、売るのにも金も時間もかかります。売るまでの間も費用(ローン支払い、固定資産税、修繕積立金、管理費など)は発生し続けます。
また株であれば時価(適正取引価格)というものがありますので、その価格であれば売れます(まあ倒産すれば0円ですが)が、不動産価格に適正取引価格なんて言う概念はありません。もしオンボロ物件を買ってしまった場合、そのゴミをお金を払って引き取ってくれる慈悲心に満ち溢れた人(もしくはアホ)を探すのは非常に難しいです。事実1円でも買い取ってもらえない物件なんかザラにあります。
いつでも売買できるというのは安心です。
2)他人資本(借り入れ)に頼るわけではないので、現実的な額に投資額を抑えられる
不動産投資の最大の強みにして最大の弱みは他人資本に頼っていることです。不動産をなんとか手放せたとしても、もし売却額でローンを返済できなければ、借金だけが残ります。そうなればもう最悪です。
(現物の)株式投資であれば、最悪失うのは投資額だけで、どう間違っても借金はできません。しかもETFを買うのであれば、隕石か核兵器が落ちてきて、米国全土が焼け野原にでもならない限りまず全損リスクはないので、なお安心です。自分のお金でやっているので最大損失額はその投資額に留めることができるというのは、株式投資の良いところです。
3)長期保有すればワンチャン値上がりも期待できる
株式は不動産価格以上に上下します。今は世界的に株安なので、買った直後に値下がりした!と胃を痛くすることもあるかもしれません。ただし、長期目線でみれば、値上がりも期待できますので、長く持てば買った価格よりも高く売れるかもしれません。特にETFであれば個別株の価格変動リスクを低減できます。その間もコツコツ配当は受け取れますので、不動産投資と同じ収益スキームが成り立つわけです。もちろん投資額は不動産投資よりも低いと思いますので収益の絶対額は低いですが、長期投資が有利になるという意味では安心材料となると思います。
したがって、サラリーマン大家だの資産1億円形成!だのバカ向け投資本や記事に騙されることなく、冷静に利回り計算をするのが良いと思います。そうすれば今が如何にヤバいかがわかると思います。
なんだかんだつらつら書いていったらそこそこの文量になりましたので一旦ここで切ります。
現在の経済・市場環境を踏まえた不動産投資のリアルについてはもう1つくらい記事がかけると思いますので、ゴールデン・ウィーク中に書きます。