こんにちは。
ゴールデンウイークですね。私は一足先に先週の日曜日から昨日までワーケーション(死語)で国内旅行を終えまして、東京に帰ってきました。
今日からが本格的なゴールデンウイークなわけですが、どこも混んでそうですし、ホテルも高いと思いますので、安いうちにゆっくりさせていただきました。なお、優雅にワーケーションしようかと思いましたが、なんだかんだ忙しく結局がっつりと働くことになったわけですが、まあそれでもおいしいもの食べて、きれいな景色を見るだけで少しはいやされた気がします。
さて、今週米国ではファースト・リパブリック・バンクが破綻からの、JPモルガンに買収されるなど、相変わらず不安定な動きをしておりまして、市場は下落しております。米国5月3日はFOMC会合があり、金曜日には雇用統計の発表もあるなど、大型連休中も市場から目が離せないですね。いやですね。
今日は何を書こうかと思ったのですが、短期的な市場レビューを書くよりも、もう少し長い期間有効と考えられることを書こうかと思いました。
日経新聞のこちらの記事にもありますし、私も何回かこのサイトで取り上げてきましたが、世の中にはびこっている投資話・儲け話のほとんどはクソみたいなものですが、まだまだ騙される人が多いようです。残念ですが、確実に儲かる話なんかあるわけがなく、あるとしたら人には教えないから、違法かどちらかなのですが、なかなか理解されないというか、自分だけは大丈夫と持っている人も多いようですね。最近だと人工知能だの、自動取引プログラムだの、FIREだの聞こえのいいトピックと絡めてきているようですが、何度も言いますが、確実に儲かる方法がもしあるとしたら、毎日朝起きてちゃんと働くことです。不労所得がそんな簡単にかつ多額に入るわけがないとまずは思いましょう。
ということを前提としながら、多少は一理あるなと思えそうなことであっても、やはりどこか的外れというか、極論だなと思う投資アドバイスがあります。特にあほなユーチューバーが偉そうにそれっぽいことを言っているものはミスリーディングなものも多いです。この記事ではなんとなくそれっぽく聞こえるけど、実は的外れなことを言っているものに関してツッコミを入れていきたいと思います。
今回は外貨預金について書いていきたいと思います。
外貨預金はそもそも投資なのか?と聞かれると微妙なところですが、まあ円ではなく、外国の通貨に投資をしているという意味では、投資ということになるでしょう。
外貨預金の良さは何と言っても預金金利が円の数百倍くらい高いことですね。円建ての預金金利なんてどこも大体0.001%です。0.001%がどのくらい低い金利かというと、1000万円預けて1年後に受け取れる金利が100円です。すごいですね。1000万円を1年間預けるよりも、1年間道に落ちているお金を探したほうがもっと儲けられるかもしれない、そんなレベルですw
では外賀建て預金だとどれだけ金利が違うのでしょうか。下記に円建て預金金利(三菱UFJ銀行)と外貨建て預金金利(ソニー銀行)を比較した表です。なんで三菱UFJ銀行とソニー銀行を比較しているのかというと、単純に私が口座を持っている銀行だからです。まあそもそもメガバンで外貨預金する人なんていないので、もっと預金金利が高いソニー銀行の金利と比べたほうが違いが分かりやすいかと思います。
金利 | 三菱UFJ銀行 | ソニー銀行 |
円建て普通預金 | 0.001% | 0.001% |
円建て1年定期預金 | 0.002% | 0.02% |
米ドル建て普通預金 | 0.01% | 0.7% |
米ドル建て1年定期預金 | 0.01% | 4.51% |
はい。これみてメガバンで外貨預金するあほおる?wって感じなんですが、まあこんな感じで結構というかだいぶ違いますw
円建てでお金を貯めていくことのリスク(リターンを得られないリスク)についてぜひとも考えてほしいものです。
まあソニー銀行のほうは結構頻繁数か月に一回くらい外貨預金金利が変動するので、あくまで上記は2023年5月3日時点のものであることにご注意ください。
さて、ではここから外貨預金に関するデメリットとしてあほが良く挙げるものについて考えていきます。
デメリットに関してはこちらのサイトを参考にしております。たまたま検索上位に出てきただけのサイトですので、このサイトの作成者様を攻撃する意図は全くありません。悪しからず。
デメリット①:為替変動がある!
はい、当たり前です。相場変動制を日本は取り入れているので、変動します。円高ドル安になれば損するし、円安ドル高になれば儲かります。変動するのは投資である以上当たり前であり、そういうものです。元本毀損リスクに耐えられない人は投資なんかできません。差損益が出るのは投資であれば当たり前であり、何も外貨預金に限ったデメリットではありません。
デメリット②:手数料が高い!
ソニー銀行だと円をドルにする、ドルを円に戻す、で合計1ドルにつき20銭です。この20銭をことさら高い!と思う人の気があまり知れないのですがwどうも世の中には何事もただでやってもらえるものとでも思っているのでしょうかね。
仮にソニー銀行の米ドル建て1年定期預金(年間4.51%)に10万円預けたとしましょう。計算を簡単にしたいので、1年間の為替変動はなく、ドルにする時も、円に戻すときも$1=100円だったとします。
そうすると、下記の通りになります。
100,000円÷100.10=999ドル
999ドル×1.0451=1044ドル
1044ドル×99.9=104,301円
税金がざっくり20%とられるので、4,301円を0.8掛けしてもらえれば手取りは3,440円とでます。
どうでしょうか。10万円を1年間預けただけで3,440円手に入りました。往復20銭の手数料などとるに足らないものです。手数料額は10万円×0.002=200円です。この200円を惜しんで3,440円を得ることをためらう人が世の中にはいるようですw
ちなみに10万円を円建て1年定期預金に預けますと、2円手に入りますw良かったですね。
デメリット③:預金保護の対象外!
預金保護というのは要は銀行が破産しても、1000万円までは元本が失われない(守られ、保証される)ということです。外貨預金はこの保護対象となりません。
正直日本で(少なくとも大手の)銀行が破産することはあまり普段から頭を悩ませるほどのリスクであるとは思いませんが、まあフェアにこれはどうしようもない外貨預金のリスクとして受け入れましょう。
デメリット④:税金がかかる!
金利収入には税金がかかることもデメリットのようですが、円預金の金利収入も税金はかかります。外貨預金のデメリットではありません。為替差益にも税金はかかりますが、投資に対するキャピタル・リターンには税金がかかりますので、こちらも別に外貨預金に限ったことではありません。
ということで、ご覧いただけた通り、デメリットとしているものの多くは、投資であれば当然想定しなくてはいけないリスクであり、何も外貨預金に限ったことではありません。
でもやっぱり損をするのはやだ!
皆様の気持ちはわかります。そうはいっても元本が減るのは嫌ですよね。為替相場は時に大きく動くものですし、1年後も同じ為替レートであるなんて楽観的かつ非現実的仮定など何の意味もない、と言われればその通りです。
特に今は歴史的円安環境であり、ここから円売り・ドル買いでドル運用しても確かに将来的に為替差損が発生する可能性のほうが高いかもしれないという懸念も納得がいきます。私もそのように思います。
ここで大事となるのが投資の鉄則である「長期運用」です。外貨預金も短期で勝負するのではなく、長期運用することで複利効果を得ることを主眼に置くのが良いです。
ソニー銀行の外貨預金には元利金再投資という選択肢があります。つまり、定期預金が満期を迎えても、そのまま元利金を新しい元本として改めて定期預金に置くことです。そうすると、今度は元々の元本だけでなく、金利収入で増えた部分にもさらに金利がつきますので、金利収入効果がどんどん高まるわけです。これを「複利効果」といいます。まあ皆さん知っているかと思いますが。
では、10万円の1年定期を10年間、毎年元利金再投資で回した場合どうなるかみていきましょう。今の米ドル建て1年定期預金金利である4.51%はさすがに高すぎ(外貨預金が有利すぎる)ますので、フェアにこの半分2.25%で回してみます。そっちのほうが現実的な数字になるでしょう。
0年目(円) | 100,000 |
円→ドル | 100.1 |
0年目(ドル) | 999.001 |
ドル建て1年定期預金金利(仮) | 2.25% |
10年目(ドル) | 1,248 |
ドル→円 | 99.9 |
10年目(円) | 124,671 |
10年目の1,248ドルが10万円になってしまうには・・・ | 24.671%の円高 |
はい、ということで元本10万円を年間2.25%で複利で10年間回した結果、10年後には12万4671円になりました。税引き後であれば11万9736円です。(1ドル=100円で計算)
また10年間の複利収入が消し飛ぶだけの為替差損がでるには、為替交換時よりも24.671%円高になる必要があります。これは今の為替相場をざっくり135円であるとすれば、108.28円まで円高になることを意味します。
もちろん10年間というのは非常に長いスパンなので、どうなるかわかりませんが、為替が24.7%動かない限り、複利収入は為替差損分よりも大きくなり、もともとの10万円よりも10年後の預金額は高くなります。
ちなみに10万円を円建て1年定期預金に10年間預けた場合の複利収入は20円です。単利(年間2円)×10年分と変わりません。複利収入が小さすぎて、10年間の複利効果が1円にもなりません。
もし10年後に為替差損が出たらどうすればいいか。為替差損が解消されるまで定期預金を続ければいいのです。1年定期(1年間引き出しが原則できない)が嫌であれば、1か月定期とか、思いきってドル建て普通預金に寝かしておくのも全然OKです。
外貨預金はそもそも投資なのか?とこの記事の冒頭で書きました。「預金」といっているくらいなので、外貨預金は基本的には長期的に預けて、お金を増やす方法です。大きく勝ちに行く投資方法ではありません。そうであるのなら、10年以上のスパンでしっかりとプラスのリターンが着実に取りに行こう、くらいの気長に持ち続けることが大事だと思います。
いつ始めるか。日銀に聞きましょう。
最後に。
今は歴史的な円安環境なので、外貨預金を始めるには必ずしも良い時ではありません。いつ始めるのが、もっとも良いのでしょうか。
究極的に言えば、日本銀行が円売り・ドル買いの為替介入をしたときです。このときに日銀と一緒にドルに替え、同じく日銀が円買い・ドル売りの為替介入をした時、もしくはその直後の定期預金の満期時で円に戻せばめちゃくちゃに良い投資となります。いつこのような千載一遇のチャンスが訪れるかわかりませんが、日銀の動きを追うのは、長期的な外貨預金(この場合ドル預金)による運用においては非常に重要です。
この辺に関しては、以前の記事もご参照ください。