リターンの種類と特性を理解する


皆様こんにちは。

新年最初の1週間が終わりましたね。日本は2営業日で、しかもすぐ3連休が控えていたのでほとんど大きな動きもなく、静かで平穏な2日間を過ごすことができました。暇は暇で退屈なので、忙しいくらいのほうが過ぎる時間が早く感じで良いかもしれないなと思った今日この頃です。

市場の振り返り

さて、市場を振り返ってみると、日本の株式市場は地震の影響で初日だけやや荒れましたが、2日間を通してみるとおおむね年末の水準から横ばいという感じでしょうか。不謹慎かもしれませんが、地震から直接的な影響を受ける企業はそこまで大きくないので、正直このようなマーケット全体が下がっているときは買い時です。

2月の優待狙いで今欲しいと思っている株が3銘柄ほどあるのですが、いずれもそんなに大きく下がっておらず、むしろ上がっている銘柄が過半なので若干萎えております。まあこれからもこの3銘柄は継続的にウォッチして、どこかのタイミングで買えるように準備しておきたいところです。

米国では昨日(1月5日)に12月の雇用統計が発表されましたが、内容は悪くなかった(むしろ強かった)ものの、詳細をみてみると見た目ほど良いものでもなかったというのが実態のようです。雇用者数は市場予想よりも増えているものの、その過半は景気感応度の低いセクターでも雇用であり、もう少し景気敏感なセクターではそこまで雇用が伸びてはおらず、景気減速の足音は着実に近づいているように思います。

FRBとイエレン財務長官的には今後の大統領選挙を控えて、金融政策および景気のかじ取りの成功をアピールしたいところかと思いますので、楽観的な声明が多く出ると思われますが、そのようなプロパガンダ的なコメントではなく、実態経済を注意深く見極めていく必要がありそうです。

新NISAが開始して増える問い合わせ

ありがたいことに、年末年始いろいろな人と個人的に会う機会があり、それに伴ってか新NISAに関する質問を受けることが増えました。皆様投資やご自身の資産形成に関心を高めてくださり、金融に携わる人間として嬉しい限りです。皆様、しっかり考えて資産を増やしていきましょう。

ということでいささか釈迦に説法ではありますが、投資に関して注意というか、理解してほしいことについてつらつらと書いていきます。

リターンについて

究極的に皆様が知りたいのは、「で、結局何に投資をすればいいわけ?」ということなのですが、それがわかれば誰も苦労しないわけでありまして、しかしそれだけは絶対に誰にもわからない質問でもあります。そこでまずは自分はどんなリターンが欲しいのかを考えていきましょう。

キャピタル・リターン(値上がり益)

皆さんがイメージするリターンはキャピタル・リターンと呼ばれるものであり、日本語にすると「値上がり益」かと思います。要は「買った値段よりも高く売れる」ことで得られるリターンです。どの株が値上がりするかは誰にもわかりません。わかるというやつがいたらそいつは詐欺師か間抜けでバカかその両方です。何も参考にする必要はありません。

キャピタル・リターンで高位な利益を狙うのであれば方法はほぼ一つです。それは長期間保有することです。長期間持てば必ず値上がりするわけではありませんが、少なくとも経済および投資した企業が成長していれば長期的には株価は上がる可能性は高いです。また、すでに事業が成熟している(成長・発展の余地が少ない)大型企業(大型株)よりも、うまくいけば著しい事業成長が期待できる中小型企業(中小型株)のほうがキャピタル・リターンを得られる可能性は大きいかもしれません。

短期間でキャピタル・リターンを得ようとするには、値動きが激しい株価を一日中張り付いて、値段が下がったところで買って、上がったところで売る、という行為を繰り返すこととなりますが、専業のデイトレーダーでもない限り、なかなかこれを継続的に行うことは難しいのでお勧めしません。

また、大きなキャピタル・リターンを短期間で得ようとする場合、大きなキャピタル・ロス(値下がり損)を短期間で得るリスクも受け入れる必要があります。リターンとリスクは表裏一体です。ハイリスク・ハイリターンです。ローリスク・ハイリターンを謳う人間がいればそいつは詐欺師か間抜けでバカかその両方です。

インカム・リターン(配当金・分配金収入)

見落とされがち、軽視されがちなのが、投資におけるもう一つのリターンであるインカム・リターンです。持っている株からの配当金や投資信託からの分配金などがこれに当たります。こちらはキャピタル・リターンとは違い、持っているだけで「ほぼ」必ず得られるリターンです。一日中値動きを見張っている必要もありませんし、そもそも、株価の推移も気にする必要もありません。

こんなにありがたいリターンなのになんで軽視されがちなのかというと、得られるリターンが少ないからです。高配当株であっても配当利回りは日本株であれば4%くらいです。10万円の株だとすると年間4000円です。4000円という金額自体は決して低くありませんが、10万円も突っ込んでいるのに、と思うといささか寂しい額かもしれません。4%なんて値動きの激しい株価であれば一日で達成できるものですので、どうしてもキャピタル・リターンと比べると地味なリターンとなります。

もう一つ注意なのは、先ほど持っているだけで「ほぼ」確実にもらえるリターン、という表現をしましたが、インカム・リターンも確実にもらえるというものではありません。企業の配当金(配当性向)は毎期企業が決めますので、たとえばこれまで多額の配当金を出していた企業をあなたが気に入って投資をしても、突然「もう配当金払うのやめます」といわれる可能性はありますし、実際に減配や配当支払いを停止した企業なんて探せばいくらでもあります。配当金というのはあくまで企業の収益のおこぼれを株主にお返しします、というお金なので、当然収益が悪化したり、収益の一部を設備投資などに回したいと企業が考えた場合には自由に配当金を払うかどうかを決めることができます。

ということで、長期にわたってインカム・リターンを安定的に狙うのであれば、高配当株を個別株で投資するよりも、高配当株ETFみたいに、個別の高配当株を束にして集めたバスケット(ETF)を買うほうが良いです。ETFという名の株の入ったバスケットを買うことで、減配や配当支払いを停止した企業の株を適宜ほかの高配当株と入れ替えを行ってくれるので、あなたは安心してほっとけばOKです。そういうバスケットの管理を人に委ねますので、一部手数料を抜かれますが、大した額ではないのでそこまで気にする必要はないかと思います。

ということで、まずはリターンには2種類あって、それぞれに性質が大きく異なること、いずれのリターンにも良し悪しがあり、絶対的に良いもの、悪いものというものはないということをまずは理解してください。

何度も言いますが、「必ず上がる」とか「絶対儲かる」とかいうやつは詐欺師か間抜けでバカかその両方です。これ大事。

次回はこの2つのリターンの性質を踏まえてうえで、新NISAが持つ「成長投資枠」と「つみって投資枠」をどう有効活用していくかを書いていきたいと思います。この手の記事はすでにはいて捨てるほど世の中に出回っておりますが、一般的なセオリーではなく、あくまで私個人としてどうやって活かしていくのかということを書いていければと思います。


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