リセッションもインフレも関係ない、みんな早く投資がしたい!


こんにちは。最近また非人道的な忙しさでありまして、なかなか週末にパソコンの前に向かう気持ちがそがれてしまっておりました。11月半ば以降からは例年であれば仕事も落ち着いてきますので、今が最後の繫忙期といったところでしょうかね。これからは徐々にスローダウンすることを願ってやみません(切実)

さて、2週間程マーケットから目を離した隙に、だいぶ市場は上昇しているようですね。前回の記事では、市場を上昇させているような材料は特段なく、一時的にマーケットは上がったけどまた下がるのではないかと書きました。

しかしその後の動向をみると、市場は上がっておりますね。良好な企業決算を好感したことが材料視されているようです。引き続きインフレは高止まりするとみられ、米国経済はリセッション入りし、FRBは早期の利下げサイクル入りはしないといっておりますが、それでも市場が一部の明るい材料にここまで反応するのは意外でした。

企業決算よりも私は最近発表された2022年第3四半期(7月~9月期)の米国のGDPのほうに注目したいと思います。こちらも実は経済に関しては好材料であり3四半期ぶりに上昇しました。住宅など一部は高金利の影響でGDPに下落圧力をかけましたが、消費者のサービス支出が堅調で全体をけん引させたとのことです。

前も触れたかもしれませんが、2023年の米国経済はリセッション入りすると思われますが、リーマン・ショック時のような銀行システムの崩壊、住宅ローン契約者の大規模なデフォルトなどによるものではありません。むしろFRBによる人為的な景気減速と言えます。つまりは中央銀行があえて経済にブレーキをかけている状況でして、経済という自動車が交通事故を起こしているわけではありません。

今も労働市場は引き続き堅調で、前述のとおり消費者支出も堅固。ここがリーマン・ショック時とは異なるところです。

もちろん、FRBはあと2.0%程金利を引き上げる可能性がありますので、これ以上にブレーキが強まればもちろん、失業者も出るでしょうし、デフォルトする企業も増えてくるでしょう。しかし、総じてみれば経済が深刻な不況状態に陥る可能性は低いのではないかと思います。

引き続き市場はFRBの金融政策次第といえると私個人は思います。

ここもと市場は上昇しているとはいえ、まだまだ年初または8月中旬に付けた高値よりは低い水準です。これからも正直市場はボラティリティが高い状況が続くと個人的には思いますので、上昇トレンド入りとは言いづらいですが、今くらいからの水準でもしくは一時的に大きく下落するタイミングでコツコツとロングをしていくのが良いと思います。

これまで言及してきたSPYDは30株追加して、現在180株まで積みあがってきました。来週の早い時期にとりあえず200株まで積み上げて一旦そこで違う銘柄に移ろうかなと思っていたりします。

次に目をつけているのはこちらも前に言及しましたが、ハイ・イールド社債ETFやバンク・ローンETFなどです。

SPYDは米国の高配当株に投資をするものですが、現在の株か水準での配当利回りは4.2%程です。一方で、同じく現在のETFのプライスにおける利回りはハイ・イールド系が約5.6%(HYG)、バンク・ローン系が約6.2%(FTSLSRLN)ほどです。

(ちなみに個別のETFに言及していますが、別にこれらを推奨しているわけではなく、ただ私が利用している証券会社が提供しているETFがこれらであるってだけですw)

利回りだけみればハイ・イールドやバンク・ローンのほうが魅力的ではありますが、現在のような歴史的な下げ相場時であれば話は別ですが、基本的に債券・ローン系のETFはそこまでETF自体の値上がり益(キャピタル・ゲイン)が狙えるものではないので、そういう意味ではコツコツと利回り(インカム・ゲイン)をもらうことに注力するものです。

株の場合には、値上がり益(キャピタル・ゲイン)も期待できますので、配当利回りが多少債券・ローン系ETFよりも低くても、まあトータル・リターン(キャピタル・ゲインとインカム・ゲインの和)でみたら魅力的であるともいえます。

そういう意味で、これまでSPYDを粛々と買ってきましたが、この後はハイ・イールド系とバンク・ローン系のETFに資金を振り向けていこうかなと考えています。

ETFの価格推移をみると、いずれも現在はコロナ禍以降では大きく下落している水準なので、今からの投資という意味では多少のキャピタル・ゲインも狙えるのではないかなと期待しています。

ということで、下記では少し難しい話となりますが、債券とローンの特徴と違いに関して簡単に説明します。

債券投資の基本

ハイ・イールド債券もレバレッジド・ローンと呼ばれるものはいずれも非投資適格級(信用格付けがBB+以下)の企業が発行しています。悲観的かつ投資嫌いの日本人が呼ぶところのいわゆる「ジャンク(債)」と呼ばれるものです。

しかし、ジャンクが悪いというわけではありません。掘り出し物企業がある場合が多いですし、信用格付けが低いからこそ高い利回りを提供してくれます。投資とは常にリスクとリターンが見合う形にバランスが取れているものなのです。(ちなみに米国の投資適格社債(信用格付けがBBB‐以上)の社債ETFの利回りは現在約3.6%)程です。

どちらがいいとか悪いとかっていう意味ではありませんが、私は長期投資目線なので、利回り重視でありたいと思います。

ハイ・イールド債券もレバレッジド・ローンも発行体の信用格付けが低いという共通点について話しましたが、次に違いについて書いていきます。

債券とローンの違い

社債とレバレッジド・ローンの違いは金利(クーポン)が固定金利か変動金利かどうかということです。

ハイ・イールド債券は基本的に多くが固定金利ですので、金利上昇に弱い(魅力度が減る)という欠点があります。

例えばコロナ禍が深刻であった2年前の低金利環境下で、クーポン3%で発行されたハイ・イールド債券を買った(既発債)とします。その後現在のように市場の金利水準が上昇して、これから新しく発行される債券では5%のクーポンを払わないとだれも買ってくれない、というような状況となるとします。そうすると当然発行体は何とか資金調達をするためにクーポンを5%払って債券(新発債)を発行(資金調達)をするわけです。

この場合、既発債を持っている人はなんとなく損した気持ちになって、これを売って、5%の新発債の方を買いに行くわけです。

みたいな感じで、その時々の金利水準によって、既に発行された債券(文字通り既発債)が今になってみると魅力的なのかどうかが変わる、ということが起こりうるのです。

今は高金利環境なので、昔買った債券を持ち続けている人からしたら損はしていませんが、なんとなく魅力的な投資機会を逃した、というような気持ちにはなります。

まあただし、これはあくまで既発債と新発債が同じ価格であれば、という前提付きとなります。

前述のとおり、既発債を売って、新発債を買う、という行動がみられれば前者は価格が下落して、後者は価格が上昇します。

既発債の価格が十分に下落して、額面を下回り、逆に新発債の価格が上昇して額面を上回れば、前者は最終的にキャピタル・ゲイン、後者はキャピタル・ロスがそれぞれ発生しますので、結果的に両者のトータル・リターンが変わらない程度に債券価格はバランスが取れることになります。

額面を下回るとか、上回るってなんぞや?と思うかもしれませんので、こちらも説明します。

債券は額面100で発行されます。単位は円でも億ドルでもなんでもいいです。とにかく100を単位とするものと思ってください。

額面100で発行しますので、企業は債券(借金)の満期が来たら100で返済します。借金中は毎年約束したクーポン(利息)を払います。

既発債が売られ新発債にお金が動いて、既発債の価格が90になったとします。今市場での価格は90でも、発行体は満期が来たら100で返済しますので、10がキャピタル・ゲインとして投資家は満期時に受け取れるわけです。もちろん保有期間中はクーポン3%、つまり(100×3%)で3のクーポンを毎年受け取ります。

逆に100で発行された新発債に買いが集まり、市場での取引価格が110になったとします。今110で取引されているとしても、発行体が満期日に返済するのは100ですので、110で買った人は自動的に満期時に10のキャピタル・ロスが発生することになります。もちろん毎年5のクーポン収入(インカム・ゲイン)が受け取れますので、キャピタル・ロス分を相殺してプラスのトータル・リターンを得ることは可能ですが。

こうやって書くと、結局3%の既発債と5%の新発債のどっちが長い目で見て投資妙味がありますか?っていうと単純にクーポンの高低で決めればよいというわけではないことがわかると思います。

もちろん、ここまでの議論も「発行体が満期日にちゃんと借金を返すことができたら」という前提になっていますので、もし発行体がデフォルト(破産)して、「借金返せませーん」ってなれば、100は返ってこないので今まで話したロジックはすべて崩壊します。「借金返せませーん」状態になる度合いを信用格付けで測りますので、格付けが低ければ低いほど「借金返せませーん」状態になる可能性が高いことを示しますし、そのリスクが高いからこそ高いクーポン利回りを得ることができるとも言えます。

債券って非常に奥が深いんですw

さて、長々と債券について書きましたが要はクーポンが固定金利である、と言いたかっただけですw

では次にレバレッジド・ローンですが、こちらはクーポンが変動金利です。つまり多くは3か月に1回支払われるクーポンが変わるわけです。クーポンの決め方は

基準金利(この部分が3か月に1回変動する)+クレジット・スプレッド(発行体の信用力に応じた上乗せ利回り、この部分は固定)

で決まります。

今はFOMC会合のたびに政策金利が上昇しており、上記の基準金利はこの政策金利に連動しているので、FRBが利上げをする→基準金利が上がる→レバレッジド・ローン投資家の受け取れるクーポンが増える、という利点があるわけです。

なので、今はレバレッジド・ローンのクーポンは毎期上昇している状況です。ウハウハです。FRBが利上げを続ける限りもしくは利下げしない限り高いクーポンが受け取れ続けます。

ただし、逆を言えば、FRBが「利下げします!皆さん長らくありがとうございました!」となれば、今度は毎期クーポンが減っていきます(もちろん下限があるので利息収入がゼロになることはありません)ので、魅力度は下がり、投資マネーが離れていく(キャピタル・ロスが発生しやすくなる)こととなります。ただし、こちらもどこかの水準で、逆に買う人も出てくるので、価格が下がり続けるというわけではありません。

このように社債とローンの仕組みがわかってくると、株以外のETFも面白そうだな?と思えてくるかもしれません。

それでいくと、今は大きく市場が下落しているので額面100を下回っている状況です。そうなりますと、高いクーポン+(100で借金を返してさえくれれば)高いキャピタル・ゲインを受け取れることになるのです。

では最後に「100で借金を返してくれれば」について私見を書きます。

企業のファンダメンタルズは非常に良好

企業もアホではないので、金利の低い時に多くの資金調達もしくはすでにある借金の借り換えを行い、金利が高い(現在)は積極的に資金調達をしないようにします。

したがって、既発債の現在の価格は90だろうが、120だろうが、支払う利息は低いまま、金利が高い今は資金調達を控えれば、全体としての借金返済負担を抑えることができます。そして、この高金利環境下でも借金ができる企業はそもそも財務状況が健全であることが多いです。

実際、2020年、2021年のコロナ禍のときにFRBは金利をゼロ近辺まで引き下げ、このタイミングで多くの企業が借り換えと資金調達を行いました。

その後今年に入ってからいろんなことが起きて、債券価格は下落していますが(多くは額面の100を下回っています)、発行体からしたらどうでもいいわけです。あくまで発行体が返済するのは借金中のクーポン(利息)と満期日に額面なので。

つまり、今は債券およびローン投資家にとって良い投資機会を提供しているわけです。

事実、JPモルガンのレポートでは今年そして来年のデフォルト率は過去平均を下回るといわれています。

また、ETFであれば何百社の債券やローンに分散投資をしているので、正直1社、2社デフォルトしたところで全体としての影響は限定的です。

ということで、SPYD(株)からの分散という意味でも今後はハイ・イールド債券とレバレッジド・ローンのETFに資金を振り向けていきたいと思います。


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