前のブログで日本の大学の良い点、悪い点に関して僕自身の経験を踏まえながら紹介した。「自由な学生生活」というものをどう使うかによって良い点が活かされるか、悪いほうに転ぶかが分かれるようになる。今回はアメリカの大学の様子を紹介したい。
受験生生活が4年間続くかのようなアメリカの大学
先にことわっておくが、僕はアメリカの大学(学部課程)を卒業していない。わたしはアメリカの大学院に正規留学して卒業しているので、大学院生として学部生の様子を横からみていた立場であり、すべてを把握しているわけではない。なので、ここで書くことは大学院生の僕がみたアメリカの大学生の様子である。
私は、アメリカのアイビーリーグの一校、コーネル大学の修士課程に正規留学した。1年プログラムの修士課程であったが、必修単位の中に学部3~4年生が受ける講義も含まれていたり、学部レベルの講義を含め自由に講義を選べる枠もあったりしたので、学部生と接する機会も多くあった。
彼らと接したり、僕自身が学部レベルの講義を受けたりして思ったことは、とにかく課題や宿題、小テストが多いことである。基本的に各科目週1回開催の日本と違い、アメリカの場合は各科目週2、3回ある。月曜に講義があって、次の講義が木曜日、みたいな感じである。
1科目に充てる時間が多いことから、その分学ぶ範囲も広くなるし、理解も深まったように思う。
ただし、何が大変かというととにかく課題や宿題が多い。月曜日に宿題が出て、木曜日には提出。木曜日にも課題があって、次の月曜日に小テスト。そしてまた木曜日までの課題が出る。こんな感じの講義が1学期間の4~6個ほど取ることになる。平日の夜も週末もほぼ宿題とテスト勉強に費やされる。もちろん、一日中勉強漬けというわけではないが、結構な時間を勉強に費やす。そんな生活が4年間続くのがアメリカの大学である。「入るのは簡単だが、出るのは大変」と呼ばれる所以だろう。
また就活をする際、GPAと呼ばれる大学での評定平均が非常に重要となる。Aが4点、Bが3点、Cが2点、といった具合に評価ごとに点数が配分されているが、良い会社に入るためには最低GPA3.5は必要といわれる。つまりCを1科目でも取ってしまった場合、GPA3.5に回復させるためにはAが3つ必要になる。アメリカの大学は相対評価なので、Aが取れる学生数は限られる。何が何でもB以上を取り続けないとGPA3.5は実現が非常に難しくなる。そんなプレッシャーのなか、毎週鬼のように出る宿題、課題、小テストをこなしていくのだから、当然遊ぶことができるのなんかたまに宿題が出ない週末や長期休暇の時くらいである。最初と最後の講義だけ出て乗り切れる、そして大学時代の成績なんてまったく気にしない日本の就活事情とは全然状況が違う。さながら、日本の大学受験生のような生活が4年間続くのがアメリカの大学である。当然ドロップアウトする学生の数も多く、大学1年次での中退率の全米平均は32%、3人の1人は2年生に進学する前に大学を去ってしまう。コーネル大学の場合は3%とのことであるが、アイビーリーグに進学するような優秀な生徒でも中退者が出るほど過酷な学生生活なのである。
このような超熾烈な競争、勉強漬けの生活を強いられるからこそ、アメリカでは今でも大卒=エリートという認識であり、実際に日本ではあまり有名でないような大学であっても、卒業生のレベルは非常に高い。よっぽど英語力なり学力に自信がない限り、非ネイティブな日本の高校生がアメリカの大学にいきなり留学をするのは、無謀とは言わないが相当に苦労することは覚悟しておいたほうが良い。
また、ここでは細かく言及していないが、学費も日本の大学と比べれば2倍~4倍くらいかかることにも注意が必要だ。
アメリカの大学の良い点と悪い点
良い点
・課題や宿題が多いということはそれだけ、教える側の負担も大きいということだ。学生一人ひとりに対する大学のケアは日本と比べ物にならないくらい手厚い。
・大学受験生のような生活を4年間も続け、生き残った君はおそらく日本の同年代の学生と比べたら、話にならないくらい優秀かつ体力、メンタルも鍛えられていることであろう。
悪い点
・課題や宿題が多すぎて、自分が本当にしたい学びはなんなのかがみえなくなる。読みたい本もやりたい学びも後回し、まずは目の前の課題を終わらせてからじゃないと、という本末転倒な結果になりかねない。
・勉強以外のことがほとんどできない。学ぶことの重要性ばかり説いているが、僕は時には友達とバカやったり、明け方まで語り合ったりするのもとても大切だと思う。アメリカの大学だと、語り合うことはできるだろうが、楽しみといえば毎週金曜夜の乱痴気騒ぎくらいである。
結論
日本の自由さとは違って、アメリカはかなり極端な管理生活である。大学4年間を勉強に全振りしているかのような状況だ。もちろん、アメリカでもバイトしたりサークル活動のようなこともできるが、勉強時間を削らない(削れない)となると、削るのは睡眠時間ということになる。