こんにちは。
相変わらずの低稼働ブログとなってしまっており大変申し訳ございません。なかなかに時間が取れずというか、ネタが浮かばずでしてお座なりになってしまいました。形にするのには多大なる労力と情報(ネタと材料)が必要なんですけど、情報収集は毎週末やっているのですが、記事として落とし込むまでの時間と体力と気力(←一番大事)がないという感じです。すみません。
ということで、まずは書きっぱなしになっていたプライベート・クレジットに関してあと何回にかに分けて書いていき完結させたいと思います。それが終わりましたら、また株式投資というかもう少し個人投資家に馴染みのある資産クラスに話を戻したいと思います。
前回までの投稿で、パブリック債券よりも利回りが高くて、機関投資家としても投資がしやすかった、プライベート・クレジットは数年前に一躍人気となり、その人気にあやかって、富裕層の投資マネーも多分に取り入れたという話をしました。
機関投資家であれば、ポートフォリオの構築に2年間くらい待ってくれますが、個人投資家となるとそうはいきません。個人投資家向けのBDCという投資形態は基本的にどこも月次申し込み、月次分配、四半期解約という形で投資を募集しているので、お金を入れたら遅くとも翌月には投資に回せ、そのまた翌月には分配金を出せ、というような感じで、本来あるべき投資のペースは完全に崩れ、ポートフォリオの構築を異常なまでに急ぐ必要が出てきます。
すると何が起こるか。
これまでであれば、「お金を貸してくれ」という発行体(借り手)の信用力(返済能力)を慎重に吟味して、十分に返済できるだけの事業力があると思われるところに注意深く投資をする、ということをしていました。しかし、富裕層からじゃぶじゃぶに集まったマネーを早く投資に回すべく、プライベート・クレジットによる投資(貸付)が、「お金を借りてくれ」という借り手有利な状況へと変わってしまいました。投資会社側も早く大量に集まったお金を投資に回さなくちゃいけないので融資基準が甘くなっていくわけです(あれ?なんだか今の日本の住宅ローンのようですね(小声))。
健全な環境下であれば、
お金を貸してほしいなら、少なくともEBITDAはXX万ドル以上ね
とか
こういう約束事と情報公開はちゃんと毎四半期行ってね(コベナンツの設定)
をしていたのですが、金余り状態になると、
現在の財務状況はある程度どうでもいいです。
コベナンツの設定もしません、設定したとしてもゆるーい約束事でOKです。
なんなら毎期の利払いもPIK(毎期キャッシュで利払いをするのではなくて、満期に元本と一緒に返済する方法)でもOKです。
みたいな感じで、どんどん借り手有利な条件での貸付が横行していきます。
これでももちろん、貸した金が返ってくれば問題がなかったのですが、AIによる既存事業への侵食(AIディスラプション)、地政学リスクによる先行き不透明感、それに伴うインフレ懸念などなど、事業環境を取り巻く逆風が強くなってくると、俺の金は大丈夫か?となるわけです。
そういうことで、富裕層が投資したプライベート・クレジット戦略への解約が殺到していきます。そもそも解約は「四半期ごとに純資産総額(NAV)の5%を上限」となっていたのに、そんなの構わず、俺の金を早く返せ!と人々が列をなして要求してきます。
そこによくわかってないけど、とりあえず問題を扇動したいマスコミが「あそこのファンドは解約に応じられてない!なにか問題があるんだ!」、「そもそもプライベート・クレジットなんて胡散臭い!」、「リーマン・ショックの再来だ!」なんてアホなことを言い始めるわけです。
という感じで雪だるま式に不安が膨らんでいった結果、3~4月にみられたような取り付け騒ぎが発生しました。足元は少し報道も落ち着いてきた印象ですが、それでもやはり問題はくすぶっているように思います。というのも、2026年6月を経て、第2四半期におけるBDCというの解約額を各社が発表しているのですが、多くの運用会社で解約上限である「純資産総額(NAV)の5%以内」という制限を超えた解約請求が出ている状況です。
こんな状態なので、多くの運用会社でこれまでの押せ押せどんどんな感じでローンの貸付はできなくなってきましたし、投資家も要求するリターンの水準が高まって来ました。お金を借りるには相応の金利を払わなくてはいけなくなりましたので、おおよそSOFR+450bps程度まで縮小していたスプレッドが足元はSOFR+500bps超くらいまで戻ってきております。おそらくこのままもう少し拡大して、SOFR+550bps程度まで拡大するのではないかとみる動きあります。
これは決してネガティブなことではなく、投資家としては今までのように雑な/緩い条件でのローンの貸し出しが減少し、規律のある形での慎重な貸し出しが案件が増えてきます。これこそがプライベート・クレジット投資のあるべき姿なわけです。何事もそうですけど、問題が発生し、何がだめだったのか、どこに膿があるのかがわかったほうが問題の改善につながりますからね。今まさにそのような市場の質の改善が起こっているのです。
ということで、今回は少し短いですが、5月中旬から書きっぱなしになっていた本稿を一旦ここで終わらせて、次回にS&P Globalのレポートを使いながら、今回のプライベート・クレジット投資を巡る「本質的な問題」と今後の見通しについてちゃんと書きたいと思います。


