コロナと投資2


コロナと投資2

前回の投稿でコロナウイルスの感染被害拡大と金融市場の暴落について話した。あれから1か月が経とうとしているが、欧米にまで感染被害は拡大している。各国中央銀行は金融緩和色を強め、市場の流動性の確保に躍起となっており、また各国政府は経済刺激策を打ち出すなど、景気悪化に歯止めをかけるよう尽力している。それでも、金融市場は不安定な値動きを続けている。正直個人的には結構な対策を政府・中央銀行が打っているようにみえるがそれでも、人々の不安心理は解消されていないようだ。

そのような中、「投資」の観点からみれば、我々はどうすれば良いのだろうか。今は買いなのか、売りなのか。前回からの続きで今回は「投資」によりフォーカスして書いていく。

投資と投機の違い、それは株式を保有する期間にある

まず、何かを提言する前に投資について考えていきたい。

「投資」の話をすると必ず対比として出てくる言葉が「投機」である。辞書的な意味の違いはおいといて、個人的に「投資」と「投機」の違いはその「期間」であると僕は考える。

投資とは、例えば株であれば、将来的に値上がりが期待できると考える株を買うことが株式投資である。もちろん、そもそも投資先企業が(消費者として)好きで、応援するという意味で株式を保有することもあるし、値上がりするかどうかはわからないが、株主優待が魅力的だから株を買う場合もあるし、株式を買う・保有するケースとしてはいろいろ考えるが、「株式投資」といえば、将来的な値上がりを期待して、保有することである。株価が値上がりする理由もいろいろと考えられるので、一つ一つ考察していたらキリがないが、基本的に業績が良ければ株価は上がると考えるのが自然である。したがって、将来にわたって業績が今よりも良くなると考える企業を投資することが重要だ。そして、買った価格よりも高い価格になったら売れば、その差額が儲けとなる。まさに「安く買って高く売る」、これが投資である。

では企業の業績が上がる理由は何か。いろいろなことが考えられるが、いくつか挙げるとすると、

  1. 新商品・新サービスを売り出し、それがヒットする
  2. 企業がコスト削減に取り組んで、利益率が上がる
  3. そもそも景気が良くなって人々は積極的に消費をして、企業の商品が売れる

などがある。株価が上がる理由はこれ以外に自社株買いをする、競合他社に高値で買収されるなどほかにも挙げられるが、キリがないので深堀しないことにする。いずれにせよ、上に挙げたものが実現するには少なくとも数か月、もしかしたら数年かかる可能性もある。投資とは長期にわたって企業と付き合うことだ。

投機も根本は同じである。安く買って高く売る。ただし、数か月も数年も待たない。5分後、明日、来週。非常に短い期間で売買することで利益を得ようとする。つまり、投資先企業の業績が良くなるまで値上がるのを待つことなんてしない。今みている株価が5分後にどうなるかなんてわからない。上がるかもしれないし、下がるかもしれない。50%にかけるクジのようなものだ。当たれば儲かる、外れれば損をする。ギャンブルに近い。というかギャンブルそのものである。

僕は別に投機をバカにすることもないし、否定もしない。5分後に結果がわかるギャンブルなんて楽しいではないか。僕は投資会社勤務なので、就業規則で短期売買は許されていないのでできないが、できる境遇だったらやってみたいくらいだ。

僕は全知全能の神でもなんでもないので、5分後の世界はわからない。だから投機の話はできない。なので、投資の話をする。

5分後の未来はわからないが、数か月、数年後の世界はもう少しイメージが付きやすい。少なくともコロナウイルスに関連することであれば仮説は立てられる。

数か月後の世界を考えるよう。状況は悪化しているか改善しているかのいずれかだ。大事なのはどっちの可能性が高いかだ

数か月後、コロナウイルスは依然猛威を振るっているかもしれない。全世界で感染者と死亡者が毎日出て、世界は引き続きパニック状態だ。ワクチンの開発が待たれる、そんな状況。株式市場は毎日下がる。世界各地で都市封鎖や外出自粛が起き、いよいよ景気減速が始まる。

もしくは

数か月後、3月、4月のこのパニックは何だったのかというくらい世界は平穏に戻っている。治療薬が早期に開発され、感染はあれど、死亡者は著しく減る。各国政府・中央銀行の景気刺激策が奏功し、当時の市場の混乱から脱し、株式市場は回復。コロナウイルスの感染防止のため消費が落ち込んだため、2020年1月-3月期、もしくは4月-6月期の企業決算はどこも悪かったが、収益見通しは良好なもの。今後はその時の反発がみられるだろう。こんな世界も想像できる。

数か月後の世界は大きく分けてこの二つのどちらかだろう。僕は後者の可能性が高いと考えているが、どうなるかはわからない。

さて、では1年後はどうだろうか。おそらくより後者に近い情勢にあるだろうと考える。今世界各国の製薬企業がコロナウイルスの治療薬の研究・開発に取り組んでいるし、各国政府・中央銀行は景気下支えのための経済政策・金融政策を打ち出しているし、人々は感染被害がこれ以上拡大しないように都市封鎖や外出自粛をしている。これ以上に世の中が悪くなることは僕は考えにくいと思う。

となると、先に挙げた企業の業績が良くなる理由の(3)が起きやすい状況になる。業績はこれから下がる可能性が高い。自分の周りをみていても、街に人はいないし、そもそも店も開いていない。これで業績が落ちないほうが不思議なくらいだ。今株価が落ちているのは将来体な業績悪化を見込んでのことだ。しかし、投資の観点、つまり数か月から数年後までみれば景気が回復するにつれて、株価も上がる可能性もある。

そう考えるとどうだろうか。最初の質問に戻る。

「今は買いなのか、売りなのか。」

僕は買いだと思う。人が売っているときに買い、人が買っているときに売る。言うのは簡単だが、実際にやるのは難しい。買った瞬間から株価が下がれば損をしている状況が始まる。その状況に耐えるのはなかなか精神的にきつい。投資は余裕資金でやるものである。明日の食費を株式投資に使ってはいけない。先ほど数か月から数年は待つものと話した。数か月から数年なくても困らないお金を使うべきだ。今日買って数年はそもそも株価自体見ない。コロナの問題が収束し、連日の気が滅入るようなニュースがなくなった頃に自分の証券口座を見てみよう。まだ損しているかもしれない。そしたら、来年のオリンピックが終わるごろにもう一度見てみよう。もしかしたら儲けが出ているかもしれない。少なくとも損が縮小しているかもしれない。それを楽しみに今は損が出ている状況を我慢して受け入れられる人だけ投資すればよい。毎日損している状況を見て、へこむ人は投資に向いてない。やめておこう。

次回は株式投資をするときに考えることについて書いていく。


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